画期的な農業の温暖化対策。農業廃棄物のもみ殻を使って水田メタンの発生を抑制する「WEF技術開発株式会社」の先端技術

もとは日本列島には自生していなかった熱帯性植物の「米」。日本に稲作が伝わったのは縄文時代の終期頃だとか(参考:中国四国農政局「お米はどこからきたの」)。

米の生産量の増加に伴って、人口も増えていきました。江戸時代の人口資料によると、縄文時代と比較して、約100倍に達していると言います(参考:公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「2-2 米の生産量が増えて日本の人口も増えた」)。

米が主食の日本やアジアの国々にとって大切な稲作ですが、水田は多くのメタンを排出していることが指摘され問題となっています。

稲作のメタン排出量は家畜の約1.5倍

メタンの温室効果は、CO2の25倍。農林水産省は、メタン発生の削減を目指し、中干し期間を延長したり、秋に稲わらをすき込んだりする対策の推進や交付金などの支援が行っています。

活性酸素のはたらきを利用した最先端技術

処理前のもみ殻

気候変動の影響が深刻化する中、メタン発生の抑制は急務です。

空気中の酸素から活性酸素を生成する世界随一の技術で、水、エネルギー、食糧の地産地消技術を開発してきた「WEF技術開発株式会社」。その「大気中生成活性酸素」を用いて、農業廃棄物のもみ殻からバイオ炭と非結晶シリカを、低コスト・短時間で同時製造することに成功しました。

活性酸素と言えば、がんや心血管疾患などの要因となるもの。一方で、呼吸によって体内に取り込んだ酸素をエネルギーに変える工程で、体内に細菌やウイルスが侵入してこないよう殺菌・分解してくれる生命維持にかかせない役割も担っています。

この酸化能力から開発されたのが「大気中生成活性酸素」。活性酸素のはたらきで有機物を燃やさずに分解する装置です。

私たちは、微生物が分解に何百年もかかってしまう難分解有機物をつくりだしています。埋め立て処分される燃やせないゴミは、土壌汚染や災害にもつながっています。

焼却炉ではなく、
活性酸素有機物分解装置「Polaris3.0」

活性酸素処理の優れた特徴は、まず処理中のエネルギーが活性酸素投入ファン(50W×2台)のみという低コスト、次に処理時間が3時間前後という短時間処理、そして処理温度は250300℃で完全非結晶化が可能という低温処理、最後にもみ殻を処理しない端境期には防草や遮熱シート等の分解処理にも利用できるところ。

 もみ殻からつくられたバイオ炭は、最低250kg/10aを混合すれば十分メタン抑制効果があり、作物収量も増加したと報告されています。

 同時に製造されるシリカには、重金属の取り込みを抑制する、病気や害虫への抵抗力を高める、干ばつ・洪水や塩害に対する耐性を高める、養分バランスを向上させるなど多くの効果が期待されています。

でき上がった「もみ殻バイオ炭シリカ」

さらに「もみ殻バイオ炭シリカ」は、今後の農業にとって大きな可能性を秘めています。

水田メタン発生抑制+埋炭の2つが集計されるため、「カーボンプライシング」で大きなCO2販売量が見込めるからです。「カーボンプライシング」とは、CO2(カーボン、炭素)に価格をつけ、それによって排出者の行動を変化させるために導入する政策手法です。「炭素税」や「排出量取引」とも呼ばれる制度で、投資判断などに活用されていくと予想されます。(参考:経済産業省資源エネルギー庁「脱炭素に向けて各国が取り組む『カーボンプライシング』とは?」)。

欧州をはじめ世界で広がりつつある「カーボンプライシング」。農産物の付加価値と販売収益を高めるバイオ炭活用は注目度が高いものです。

もみ殻バイオ炭シリカの取り出し

もみ殻中の成分比率は、80%弱がセルロースなどの有機物で、残り20%強の無機物は大部分の非晶質シリカと僅かなミネラルで構成されているそう。

現在、国内で毎年約200万トンのもみ殻が排出され、そのうち67万トンが廃棄されていると言います。もみ殻の利用は、地球温暖化と食糧の両問題を解決できると期待されています。

また、気候変動に打ち勝つ米の栽培は、収量・品質の確保(増産)、リン肥料の使用量の削減(炭の付加価値利用)、さらに稲作廃棄物の削減など、日本とアジアの未来の農業にアプローチするものです。

 

WEF技術開発株式会社 https://aoyama-wefit.com/

企業情報

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執筆者:奥田 景子

ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。

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