【 五十嵐和恵の季節に合わせた暮らし方 Vol.23 】 2023.8.8~2023.11.7 秋の養生

灼熱の毎日ですが、88日は立秋。「暑中見舞い」から「残暑見舞い」に変わります。2023年のコラムテーマは「味わう」。穀物や果物などさまざまな食べ物が旬を迎える秋は、正にこのテーマがぴったり!今回は一足先に「食欲の秋」について考えたいと思います。

「食欲の秋」とは

そもそも「食欲の秋」の由来は何でしょう?所説あるようです。

まずは、秋といえば、栗、さつまいも、里芋、松茸、落花生、銀杏、きのこ類、ぶどう、梨、りんご、いちじく、柿、サンマ、鮭、牡蠣、新米など、旬の食べ物がいっぱい。暑さで低下していた食欲が回復するので、秋は食欲が増すように感じます。

「空が澄み渡って晴れ、馬は食欲が増し、超えてたくましくなる秋」という意味の「天高く馬肥ゆる秋」から来たという説もあります。

また、科学的な根拠も。私たちの脳内で分泌されるホルモンであるセロトニンは食欲を抑える働きがあります。日照時間に応じて分泌量が増えるので、日照時間が短くなる秋は、セロトニンの分泌量が減少。その結果、秋になると食欲が増進するのです。

梨とコラムVol.3でご紹介した白きくらげのスープ
どちらも潤す働きがあるので、乾燥する秋におすすめ

食べたい!でも…

人は春夏になると新陳代謝が活発になり、秋は新鮮な食べ物が少なくなり寒さ厳しくなる冬に備え体に栄養を蓄えようとします。「食欲の秋」であっても、太りたくないのが女心。そのために簡単にできることはよく噛むことです。

食事をして脳の満腹中枢が刺激されるまでは約20分かかると言われています。よく噛んでゆっくり食べると食べすぎを防ぎ、肥満予防につながるのです。食べる速さと体格指数(BMI)の調査によると、速食いの人はBMIの数値が高い傾向にあるという結果が。私は一口30回噛むことを目標にしています。

しのぎやすくなり食欲が回復しても、暑さによる疲れで弱った消化吸収力はすぐには元に戻りません。よく噛むとたくさん唾液が。唾液の中に含まれる消化酵素は炭水化物の消化を助けます。噛むことでごはんが甘く感じるのもこの酵素のお陰です。

果物を使った料理

私は果物を料理に使うのが大好き。おいしさが凝縮した深い味わいがあります。今回はぶどうといちじくをポークソテーのソースに。ふだんの薄切り肉でもお店のようなごちそう感がでます。簡単なのでぜひお試しください。

 【材料】(2人分)

豚肉(しょうが焼き用) 250
ぶどう 10粒
いちじく 2コ
赤ワイン 50cc
バルサミコ酢 50cc
バター 大さじ1
塩コショウ 適量
オリーブオイル 適量
ローズマリー 適量

【作り方】

①豚肉は塩コショウでしっかり下味をつける。
②ぶどうは皮をとり半分に、いちじくは4等分に切る。
③鍋にバターを入れ②のぶどうといちじくを炒め、赤ワインを加えて中火で煮立たせアルコール分をとばす。
④アクがでてきたらアクをとり、バルサミコ酢を入れとろみがでるまで煮詰める。
⑤フライパンにオリーブオイルを入れ、①の豚肉を炒める。
⑥豚肉が焼きあがったら皿に盛り、④のソースをかけローズマリーを飾る。
※ソースが濃厚なので、豚肉にしっかり下味をつけておくのがポイント。

今から待ち遠しい本格的な秋。無農薬や無肥料で手間暇かけて作られ実りを迎える食べ物に感謝し、よく噛んで、おいしく味わいながら「味覚の秋」を楽しみたいと思います。

※秋の養生については「 五十嵐和恵の季節に合わせた暮らし方Vol.381318 」を併せてお読みください。

 

ポジティブ・エイジング アドバイザー、健康管理士一般指導員、食育インストラクター。福岡市出身。時間とともになんとなく年をとるのではなく、加齢に対して前向きに準備をしながら素敵な年齢を積み重ねてゆく=「ポジティブ・エイジング」を提唱。東洋医学のある暮らしでうつ病や難病も克服。お子さんからシニアまで幅広い世代の方に、セミナーや講演会を開催。福岡県立高等学校食育出前講座、西南学院大学市民講座などの講師を務める。

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