Global Organic Network代表・中村実代がオーガニックな人に会ってお話を伺うオーガニックインタビュー。国際的なオーガニックテキスタイル基準GOTS(Global Organic Textile Standard)について、GOTS地域代表(Regional Representative in Japan) 三好智子さんに伺います。
働いている人にもオーガニックな環境を!
─ 前回ご紹介いただいたショートフィルムでは、お店で店員さんがGOTSの認証マークについて説明していましたが、私自身は、認証マークがついた商品を店頭で見かけたことがない気がします。
三好智子さん(以下三好): そうかもしれませんね(苦笑)。実際のところ、GOTSの認証マークがついている製品はそんなに多くないと思います。というのも、認証を受けたからと言って、必ずしもラベルを貼らなくてはならない訳ではないし、ブランドによってはラベルやタグが製品のファッション性を損なうと考えているところもあったり…。
─ 確かに(笑)。だからこそきちんと伝える活動が本当に大切。三好さんの腕の見せ所ですね。ところで、GOTSは具体的に何を認証しているのですか?
三好: 簡単に言うと、繊維の生産、加工から最終製品にいたるまでのプロセスの認証です。もう少し細かく説明すると、収穫後の製糸、染織、織り、縫い、梱包、輸出入などです。入荷・保管・出荷時の管理や製造における製品の取り扱い、ロゴの使用などをカバーしています。
─ ということは原料の栽培基準は制定していない?
三好: ええ。そうです。原料の栽培基準については、IFOAMに規定される国または地域の有機農法基準に従って認証された原料を使用していること、としています。その上で、オーガニック繊維が95%以上含まれているものを「Organic」、70%以上のものを「Made with Organic」というように、グレードをつけています。
─ オーガニックと書いているけれど、実際のところ何パーセント入っているかわからないものも多いですものね。3%でもオーガニック?みたいな感じで…。
三好: 残念ながら、そういう商品もありますね。GOTS認証の場合、「Made with Organic」はオーガニック繊維70%以上としていますが、残り30%も環境により良いことが求められます。例えば、再生ポリエステル繊維などの使用が可能です。オーガニックでありながら、ファッション性と機能性を兼ね備えた商品もたくさん出て来ています。
▲カラフルなネックレスがとってもかわいい。シックなコーディネイトはもちろん「GOTS certified Organic」。
─ つまり、GOTS認証は、製品だけでなく、製造や加工のプロセスにおいても、環境に悪影響を及ぼさないための基準を作って認証しているのですね。
三好: そうですね。そして、その「環境」には「働いている人」や「組織」も含まれている、と考えてください。
─ 働いている人?
三好: ええ。たとえば、耐震性のない狭いところで、火災時のトレーニングを受けることもなく、休憩もとらずに働いている人がたくさんいます。そんな環境、過酷な労働条件の下で作られた商品を、果たして「オーガニック」と呼んでよいのか?ということです。
─ オーガニックなのに…。とっても矛盾を感じますね。
三好: ですよね。そのためには透明性が大事。作っているところが見えること、基準を作って、みんなにも見えるようにすること。やっぱり、オーガニックは関わるもの全てがハッピーであってこそ、その価値が最大化すると思うんです(笑)。
GOTSのホームページ http://www.global-standard.org/
GOTS Version 4.0(和訳)はこちらからダウンロードできます→★
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