Pants to povertyは、世界の貧困撲滅を目指すイギリスのオーガニックコットン・アンダーウェアブランドです。アンダーウェアのブランドで、どのような貧困撲滅のプロジェクトが行われているのかご紹介していきたいと思います。
Pants to povertyで使用されているオーガニックコットンは、すべてインドにある世界初のフェアトレードとオーガニックコットン専用の自社マーケティング会社の農場で作られています。この農場は、インド中南部にあるハイデラバードに本拠地をおき、5,000以上の農家によって組織されているそうです。
フェアトレードで取引されているため環境に配慮され、農家は農薬を使用せず雨水によって農業が管理されています。工場排水から川は保護され、人体も害を受けることはありません。
コットンに支払われるフェアトレードの付加価値によって、多くの農家が前年比の3倍もの利益を上げることができただけでなく、井戸の設置、学校設立の資金や地域社会のインフラの援助にもなっているということです。
工場では、コットンの栽培で使用される水の90%以上がリサイクルされ、特別な淡水化装置で、工場から流れ出る水は工場に入った時の水よりもきれいになっているそうです。
Pants to povertyのアンダーウェアは、ナチュラルカラ―ではなく元気になるような明るい色のものがたくさんあります。そのすべての染料は低影響染料です。発がん性物質で環境を汚染するアゾ染料は一切使用されていません。
エネルギーはすべて天然ガスですが、エネルギー消費量を30%削減し、20万本もの木を植え続けることで、環境に対する影響を相殺しています。
工場のスタッフには、生活賃金だけでなく、無料の医療ケア、食事、住宅、技術訓練の機会、ヨガのクラスなどが設けられています。女性の地位向上ブログラムが開始され、2000人を超える女性に対して仕事の機会や医療施設への自由な入場許可、技術訓練、そしてヘルスケアプログラムが行われています。
さらに、地域社会に対しての配慮もあります。学校や技術学校を建てるだけでなく、工場の利益を他の人々にもたらすことを保証するため、地域周辺の他の90に及ぶ学校や様々な老人ホーム、孤児院への支援などです。
Pants to povertyは、パンツ1枚につき(キッズシリーズは1パックにつき)約80円を、Pi Foundationに寄付しています。
Pi Foundationとは、本拠地をイギリスに置くチャリティ団体です。コットンの種の生産モデルを開発するプロジェクトを運営しています。児童労働の根絶を目指し、子ども達に正式な教育が受けられるよう復帰させ、非遺伝子組み換えの種の生産も行うものです。
平均よりも55%も低い賃金で働かされる子ども達。子ども達の小さな指は、交雑種のコットンの種を生産するのに必要な複雑な受粉に好都合とされているそうです。子ども達は、1日に13時間働かされるだけでなく、種の生産に使われる農薬の被害にさらされているのが現状だそうです。
この人権侵害を終わらせるために、Pants to Povertyでは100%児童労働が関与していないコットンの種をつくることに乗り出したそうです。
ヨーロッパでは、「エシカル」として、積極的に行われている支援。Pants to povertyのアンダーウェアを買うことは、私たちができるエシカルなアクションの一つです。
Pants to poverty(リ―ラ):http://www.leela-japan.com/Pants_to_Poverty/
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執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |