キッチン・ガーデン/ファーム・ガーデンからメドウ・ガーデン、さらにア―ス・ガーデン、日高山脈を望む
北海道上川郡清水町にある「十勝千年の森」の2016年グリーンシーズンは、4月29日金曜日から11月3日木曜日まで。そのコンセプトは「未来へ遺(のこ)す、未来に引き継ぐ森を育てる」です。
農業生産法人「ランラン・ファーム」が運営している「十勝千年の森」では、環境貢献活動カーボン・オフセットを起源に、森、庭、農、アート、食と、さまざまなアプローチで、人が自然と触れ合える機会が創られています。
*カーボン・オフセットとは、できるだけ温室効果ガスの排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資することで、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方。
さまざまな動植物たちが息づく森の草原、水辺といった多様な自然環境の「十勝千年の森」。スタッフたちは、放置されてきたカラマツ林に手を入れ自然な森林に戻したり、自然淘汰による力強い森を目指す手法、混播法で森づくりを進めています。
さらに「十勝千年の森」にある北海道ガーデンは、場の特性を活かし、営みと一体となり、時とともに成熟し、北の大地にふさわしいスケールの大きな風景を目指し創られている循環している庭。ガーデナーたちによって「北の庭園文化」を創る活動が行われています。
世界で最も美しい北海道ガーデン
“世界で最も美しい庭”に選ばれた日本で唯一の庭、「アース・ガーデン(大地の庭)」と「メドウ・ガーデン(野の花の庭)」は、英国のガーデンデザイナーズ協会が主催し、世界中の優れた庭を表彰する「The Society of Garden Designers(略称SGD) Awards 2012」で最高位である大賞を受賞。審査員から「21世紀のガーデンデザインの最良の例」と評され絶賛されました。
メドウ・ガーデン8月の風景
北海道ガーデンは、この2つの他に、「ファーム・ガーデン(ローズ、キッチン、オーチャード、ゴートファームを含む総称)」、「フォレスト・ガーデン(森の庭)」があり、訪れる人々の目を楽しませています。
日高の山々から吹き下ろす地吹雪で人の背丈ほど積雪する冬の間も、ガーデナーたちは苗の手入れをするなど、新たな生命を育ててきました。長い冬を越えて、まず「メドウ・ガーデン」の植物が開花し、早春の庭を彩ります。6月に入ると、庭は初夏の風景へ。どんどんと変化する庭の風景のなかで、花の中をたくさんの蝶が舞う美しい光景は8月まで楽しむことができます。
ガーデナーたちの仕事、メドウ・ガーデンの追加植栽
それでは、自然の中で楽しめるグリーンシーズン中に開催のイベントやトピックをご紹介します。
森の中の風鈴が涼を呼ぶ
4人の著名なガーデンデザイナーが手がけた「自然との対話」を表現した作品で構成される「HGSデザイナーズガーデン」では、2000個の江戸風鈴で装飾した『涼を呼ぶ庭』が実施されます。
実施期間:2016年7月1日(金)~8月31日(水)
実施場所:HGSデザイナーズガーデン
親子で植物と昆虫に触れあえる
「十勝千年の森」に生きる植物や昆虫たちをテーマに、『植物と昆虫展』が開催されます。普段はなかなか見つけにくい昆虫たちの姿を観察できるほか、珍しい昆虫の標本や昆虫採集の方法、森の野の花の紹介など、子供から大人まで楽しむことができる遊び心のある展示が企画されています。
実施期間:2016年7月1日(金)~8月31日(水)
実施場所:イベント特設会場
自然を体感できるセグウェイツアー
「十勝千年の森」は、日本で初めてセグウェイツアーがスタートした場所だそう。東京ドームが85個入る敷地の中に、草原コース・森コース・ファームコースなど5つのセグウェイコースのガイドツアーが行われています。初夏のセグウェイツアーは、爽快そのもの。
新緑に染まる日高山脈の谷間に残る雪を望むことができるのは、この時期ならではの風景です。最も高台にあたる「千年の丘」からは、広大な田園地帯を望むことができるので、「農業王国・十勝」を実感できます。夏には、緑も深まり田畑も緑一色、その中に点在する赤みを帯びた畑では小麦が色づき始め、素敵なパッチワーク柄に。ガイドを行うのは、セグウェイ社公認の熟練スタッフなので安心。地域の自然や文化に詳しい山男、また飛んでいる翅(はね)の音だけで虫が分かる昆虫博士など、スタッフによって「十勝千年の森」の見方、楽しみ方が変わるのも魅力です。
<セグウェイツアー>
ツアー料金 :8,800円(税込) (2時間ツアー:30分教習、90分ガイド)
※1日4回実施。天候や季節によりにより運行しない場合もあります
※1回のツアー遂行人数は、最大6名様までです
最小随行人数:1名 最大定員6名(上級者コースは4名)
年齢 :16歳~69歳
体重 :45kg~100kg
予約方法 :電話(0156-63-3311)もしくは
ホームページ( http://www.tmf.jp/segway.php )にて受付
※前日の17:00をもって締め切り
美味しいチーズをいただく
「ランラン・ファーム」では、「十勝千年の森」の敷地内で日本ザーネン種のヤギを約100頭飼育。ヤギたちからとれた生乳を使い、国内では珍しい「山羊チーズ」をつくっています。
春は「ランラン・ファーム」で山羊のチーズづくりが始まる季節。雪解けが始まると、たくさんの母ヤギたちが出産をはじめるそう。今年の春には40頭の母ヤギから、約60頭の子ヤギが誕生しました。出産を終えた母ヤギから、栄養たっぷりの搾乳したミルクを使い、ひとつひとつ丁寧につくりあげた、ヤギ乳100%の絶妙な香味が漂う「山羊チーズ」の出荷は、5月ぐらいから本格的に始まります。
ヤギと触れ合いチーズをつくってみる
ランラン・ファームで放牧されているヤギたち
飼育しているヤギと触れあうことができるほか、チーズショップでは「山羊チーズ」をはじめ、数々のチーズ商品が販売されています。また、チーズの作り方や種類について学び、モッツァレラチーズを作り、ピザにして食べる「十勝ナチュラルチーズ作り体験工房」も実施されています。
<十勝ナチュラルチーズ作り体験工房>
実施時間:10時~、12時~、14時~
料金 :大人 3,000円、子ども 2,000円
予約受付:TEL 0156-63-3000
※前日の16時まで要予約
<チーズの購入>
ヤギは牛に比べ体も小さくミルクの量も少ないので、大量に生産できないそうですが、以下の通販サイトや店舗からも可能です。
(1) 通販サイト: http://www.yagi-cheese.jp
(2) 北海道チーズ専門店「チーズのこえ」
目の前にキッチン・ガーデン、その先に世界で最も美しい庭「メドウ・ガーデン」が広がる開放的な空間「ガーデンカフェ ラウラウ」。ここでは、チーズやハーブ、野菜を使った軽食が楽しめます。
朝摘みハーブを使ったガーデンカフェ ラウラウのピザ
北海道上川郡清水町はアイヌ語で「ペケレペツ」(明るく清らかな川)と呼ばれるほど、町に美しい川が流れ、多くの魚たちが生息しています。清らかな川を支えているのは地下に眠る、花崗岩の一種「麦飯石(ばくはんせき)」で、その岩盤の大きさは日本最大級だそう。
多孔質の「麦飯石」は、水や空気を浄化・中和し、匂いを吸着する能力があるため流れる小川も常に澄んで美しく、ファームで育つ山羊や昆虫などの動物、そして木々や草花もこの水によって育てられています。場内のレストランやカフェでは、地下で「麦飯石」の間を通って浄化され、適度のミネラルを含んだ天然の伏流水を汲み上げ使われています。
メドウ・ガーデン7月の風景
自然環境を生かし配慮されたガーデンと広い森と大地は、自分自身を開放してくれそうな場所。家族や友人たちと何度でも訪れたくなる「十勝千年の森」です。
2016年「十勝千年の森」グリーンシーズン
●開園期間:2016年4月29日(金)~11月3日(木)
※11月4日(金)より冬期閉園
●営業時間:4月29日~6月30日 9:30~17:00
7月 1日~8月31日 9:00~17:00
9月 1日~11月3日 9:30~16:00
●入場料(価格はいずれも税込)
一般・大人(高校生以上) 1,000円
小中学生(学生証提示) 500円
小児(小学生未満) 無料
身体障がい者(小・中学生400円) 800円
団体(15名以上、小・中学生400円) 800円
*ペット同伴可
●所在地:〒089-0356 北海道上川郡清水町羽帯南10線
*車で…帯広から45分、とかち帯広空港から60分、札幌から3時間
*電車で…JR「十勝清水駅」からタクシーで15分(約3,000円)
●ホームページ:十勝千年の森ウェブサイト http://www.tmf.jp
ガーデン専用ウェブサイト http://tmf-garden.jp
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執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |