カーボンニュートラルを学ぶ竹炭づくり。地域の課題と向き合う大人と子供たちの「里山遠足」

2023年の7月は、気象庁が1898年に統計を取り始めてから125年間で最も暑かったとか。全国の平均気温は平年と比べて1.91度も高かったそう(参考:海と地球の情報サイト「JAMSTEC BASE」

地球温暖化のおもな要因となっている化石燃料の燃焼による二酸化炭素。2021年6月、課題解決のために『地域脱炭素ロードマップ ~地方からはじまる、次の時代への移行戦略~』が決定し、日本各地で取り組みが始められました。

 神戸市では「KOBE ゼロカーボン支援補助金制度」を創設。神戸市と協定を結んだ「オーエス株式会社」は、「竹ってすごい! カーボンニュートラルを楽しく学ぶ里山遠足」(以下、「里山遠足」とする)の第一回を12月3日に開催しました。放置竹林に着目し、神戸市が管理する里山の整備とカーボンニュートラルを楽しみながら学ぶ、そんな遠足です。

地域の課題を解決へ導くカーボンニュートラルを提案

増えすぎてしまった竹を伐採

神戸市の多井畑西地区(須磨区多井畑、垂水区名谷町・下畑町)は、周辺が住宅地に囲まれた市街地近郊に位置しています。畑や森林・竹林、かつて利用されていた棚田形状が広がっていることから、市街地には見られない良好な里山景観が形成されています。古くは優良な水田として活用されいましたが、現状では高齢化などによる担い手不足により、耕作放棄地が増加、放置竹林となっています。

同地区は、旧住宅・都市整備公団(現・UR都市機構)が、1994年に地元要請を受け、土地区画整理手法による事業化を目指し、用地買収を進めていましたが、2004年に事業中止が決定。協議の結果神戸市が2020年7月に約29haある多井畑西地区の土地をUR都市再生機構から譲り受け、みどり豊かな都市環境を図る取り組みを進めています。
(出典:神戸市:神戸市:多井畑西地区・里山の保全・活用 (kobe.lg.jp)
actionplan_zentai.pdf (kobe.lg.jp)

今回の「里山遠足」では小学生からご年配の方まで幅広い年齢層の30名が参加し、竹の間伐から竹炭づくり、農地への炭素固定まで一連の流れを体験。里山整備とカーボンニュートラルを学び、できた竹炭を使ってつくった焼き芋の試食会も行われました。

イベントの様子
地域の歴史と環境、竹害と言われる放置竹林について知る機会

「オーエス株式会社」事業開発部で多井畑の課題に取り組む佐々木佳男さんは、「『里山遠足』は、オーエスとしては初チャレンジとなる、市民も巻き込んで荒れた竹林を除伐し整理するイベント」だといいます。

「枯れた竹は、もろくなって倒れやすく災害の原因になるので、伐採しなければなりません。そのまま放置すると腐敗していく過程で二酸化炭素を排出すると言われています。炭にすることでたくさんの穴があき、それが微生物の住処になるため、土壌改良剤として使われますよね。枯れた竹は炭にしても飲食や炊飯には使えないため土壌改良や消臭に使います」

その竹炭を使って土地の土壌改良も始められました。

頑張って竹を切ります!

「里山遠足」は、小学生も参加できる内容です。

「せっかくの遠足ですから、子供も大人も一緒に楽しめるようなものにしたいと考えました。炭の熱で焼き芋をつくれないか、ということなって…試してみるとうまくいったので、取り入れたんです。楽しくないと続かないですよね。焼き芋ができるまで、竹割などいろいろな竹の遊びをやりました!」

炭化器の火入れ

炭づくりで使われているのは、ボウルのようなカタチで対流燃焼を発生させる無煙炭化器。炭化器の下の部分を土で塞いで空気が入らないようにしたもの。表面は炎が上がり、釜の底の部分は酸素のない状態で熱だけが加わるため、どんどん竹炭になっていきます。

「かなり炎が上がるので、『ゼロカーボンなのになぜ燃やすの?』という意見もありました。上の部分では多少二酸化炭素が発生しますが、底の方ですぐに炭化されて、炭素を閉じ込めることになるので環境に優しいよと説明します。40分くらい経って炎がおさまり、熾火(おきび)の状態になったらサツマイモを入れていきました」

講師は環境保全ボランティアの伊與田安正さん

「里山遠足」で訪れた「多井畑西地区」は、四方を住宅街と幹線道路に囲まれた地。参加者さんから、「多井畑に里山があるなんて、本当にびっくりしたと同時に、竹やぶで荒れてきている現状を聞いて、なんとか残したいと言う気持ちになった」という意見がありました。

「ここは公園ではないので、今は何も整備されてないんです。 水道もないですから、施設に遊びに来るという感じではなく、山道もあります。一部、 平らなところでは、果樹園などの畑があるんですが、7、8割のところは竹が浸食しています。そんな環境問題について、環境保全活動のボランティアの方に講師をお願いしています」

伐採はヘルメットをかぶって
日本全国で課題となっている放置竹林

日本の各地域で、耕作放棄地や住宅地まで浸食する竹林被害が問題となっています。一方で、竹はたくさんの用途を持つ優れた素材。さらに竹炭は、空気や水の浄化、健康効果まで報告されています。「オーエス株式会社」は、いろいろな企業など協力者の方々と連携し協働しながら、地域の放置竹林などの地域課題を知り参加者と一緒に解決していくようなイベントの開催や、竹炭も活用しながら無農薬栽培農地の実証実験を行っていく予定だそう。

「無農薬栽培の実証実験は、手のかかりにくい野菜から始めていきます。竹害と言われている『状況をプラスに変えていくカーボンニュートラル』を提案し、価値あるものに変えていくことを目指しています」

家庭菜園などに使える竹炭は、参加者さんへプレゼント。皆で協力して整備した里山が綺麗になって、遠足が終わった後の気持ち良さが伝わってきました。地域への思いと愛着が湧いてくるサステナブルイベントだと感じました。

 

オーエス株式会社 https://www.osgroup.co.jp/

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