オーガニック・自然化粧品の現状と展望 (手島大輔)

1.日本のオーガニック・自然化粧品マーケット

日本における化粧品全体の市場規模(販売金額)は、2兆円を超えて推移しているとされ(冨士経済調べ)、非常に大きなものとなっている。この中でのオーガニック・自然化粧品の規模は明確な区分がないので明らかには出来ないが、ここ数年の植物性やオーガニック、自然を謳ったブランドの市場での増加を見ると、明らかにその割合や規模は増えているものと想像するに易い。
オーガニックや植物性をコンセプトとした海外からのブランドの輸入も増え、世界中からのこれほど多様な種類の製品が溢れている国としては、日本市場は抜きん出ているであろう。

またそれらが販売される、百貨店からバラエティストア、ドラッグストアから洋服店、雑貨店、インテリアショップ、ネット販売などそのチャネルの多様さ、そして毎日のようにファッション雑誌やインターネットに掲載されるオーガニック・自然化粧品の記事の多さも目を引く点である。
日本市場の特徴は以上のように、全世界から大小のオーガニック・自然化粧品ブランドが様々な輸入業者により輸入され、また国内の化粧品会社により生産され、そして雑誌やネット上にあふれかえる情報のなか、混沌とした市場で販売されていることにある。

 

2.化粧品におけるオーガニック認定について

さて、それではオーガニック・自然化粧品の定義であるが、ヨーロッパを中心に海外にはオーガニック認定化粧品というものが存在するので代表的なものを説明しておきたい。有機農業団体によるECOCERT(エコサート)、SOCERT(ソサート)、SOILASSOCIATION(ソイルアソシエーション)、DEMETER(デメター)、また化粧品業界団体によるBDIH(ドイツ医療品化粧品商工業企業連盟)などがあり、第三者や業界団体による製品の品質保証を行っている。

有機農業団体による多くの認定は、製品中に一定の割合でオーガニック認定を受けた植物原料を使用する基準を設け、その基準に達した製品のパッケージやラベルに認定マークをつけ、品質の証明を行う。一方で、オーガニック認定原料を一部使用していたとしても一定割合に満たない場合は、製品ごとのラベルやパッケージにマークはつかない場合が多い。ブランドによっては、いくつかのアイテムのみオーガニック認定を製品として取得し、その他は製品中の一部にオーガニック認定の原料を用いるという形で展開しているところもある。また、オーガニック原料を使っているが、認定を取得していないブランドもある。これについては自称オーガニックということになるが、それが非オーガニックであるということは言えず、判断は消費者に委ねられるであろう。

ただ、オーガニック認定を第三者機関から受けることもコストもかかることであり、これまで大手ブランドは認定取得しない傾向があったが、最近の動きとして大手ブランドにおいても第三者機関による認定取得が進む傾向にある。この点は、消費者の安全性への期待に応えるための企業努力として評価できる点である。
日本においては、食品カテゴリーにおいて有機JASという基準が存在するが、化粧品カテゴリーにおいてはなく、今後の整備が期待されるところである。

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