オーガニックに対する意識が高まっている中、新しい技術を活かした有機栽培の取り組みも増えています。ドローン・ジャパンの「ドローン米プロジェクト」もそのひとつ。ドローン米とは、生態系を守り、農薬・化学肥料に頼らず、自然と調和することを心がけた田んぼから、ドローンが「見える化」し栽培しているお米のこと。
※ドローン米はドローン・ジャパン(株)の登録商標です。
これまでは、農薬の散布がメインに使われていたドローン。今、ドローンにセンサーを装着し葉の光合成の活性度を測定し生育度を数値化する技術が生まれています。 具体的には、ドローンと電磁波測定技術を組み合わせたリモートセンシング技術を導入し、田んぼ内の稲の生育状態を均一になるように育てることに役立てています。
カメラを搭載したドローン
マルチスペクトルカメラを搭載したドローンは、生育状況や水、追肥の必要箇所、収穫時期などを精密に解析できるそう。農家は、その分析に従って作業をすることで生産効率が上がり、農薬や化学肥料に頼らない安全な方法で、安心できるおいしい作物を消費者へ提供できるのです。
<栽培する田畑作物が生育している様子>
ドローン米プロジェクトとはシンプルに4つのとりくみです。農薬・化学肥料に頼らない篤農家が創るお米づくりをドローンで「見える化」すること。篤農家と共感する消費者がつながり、お米に正当な価値をつけること。そして、美味しくて、安心安全なお米を求める世界の消費者に届けること。さらに、篤農家のお米と土づくりを伝承するための「ドローン×農 = 精密農業ができる人財を育成」し、日本の稲作土づくりを世界に広げることの4つです。
篤農家さんの想いを世界へ ドローン米農家 市川農場の市川さん
有機栽培はまず土づくりから
収穫量が上がることで、農業人口の減少や収穫の偏りといった問題解決にもつながります。プロジェクト第一弾として収穫されたお米をこだわりの直火炊きでパックにし販売開始しました。 国内では現在、パック米としてECサイトのみで販売されています。
ドローン米“パックご飯”の販売パートナー、ドローン米取り扱い飲食店募集中
QRコードでトレーサビリティも保障
17年度は、北海道・旭川、千葉・佐倉、茨城・小美玉、三重・津、岡山・鏡野、新潟・長岡、富山・滑川の全国7地域の7人の農家で、ドローン・ジャパンの助言を受けて、ドローン米栽培を行いました。
北海道市川農場の田んぼにて。農薬を使わないきれいな水だからこそ咲く“みずあおい”という雑草花
買い取り販売で得られた利益は、DJアグリサービスで、「ドローン米」をさらに機能アップ。篤農家の農の技そして志をさらに「見える化」し、途上国での日本のお米栽培の指導・教育にも“ドローンが支援”されています!
<DJアグリサービスとは>
圃場を回転翼または固定翼のドローンでリモートセンシングし、クラウドで解析した結果による、以下のサービスを提供します。
- 農業ICT事業者:農業栽培・営農支援サービス事業者へのセンシングデータ・解析データの提供
- 生産法人向け:発芽状態の把握、生育むら箇所の特定(追肥判断)、生育異常箇所の特定、収穫適期判断。
- 農協、自治体農政など向け:圃場管理情報、営農指導支援情報、収穫順判断支援、災害調査利用。
- 食品加工、流通事業者向け:農作地情報、収穫予想(量、質、時期)、災害被害状況。
ドローン・ジャパン代表取締役社長の勝俣喜一朗さんは、
「循環型共存共栄の社会、経済モデルが必要になってきています。日本の農業をこれからのIT事業である「IoT×クラウド」により暗黙知を形式知にする。それを徹底的に追及していくと、『日本の土づくりを通じ, 自然と人とは二項対立ではなく、主従協調の関係にあるんだ。』という基本概念をわかりやすく深く論理的に教えてくれると、確信しています。海外パートナー・IT産業・農業、そしてさらにはそれを支える人材育成事業をつなぎ掛け合わせ、「IT × 農 = 地方の宝を世界に」を生業としていきたいと思っています。」
と、語っています。
年々、世界規模で大きくなる災害と共に、農家の被害状況も大きくなる現状があります。先端技術を活かした新たな取り組みは、作り手から消費者までの生活も守る挑戦のように感じました。
ドローン・ジャパン 企業情報
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IT×農, ドローン, 新世代技術, 有機栽培
執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |