今日本で大切だと思われている「食」の安全性。まだ子供が小さくてアレルギーが心配な30代前後のお母さんやお父さんたちは、特に気になることでしょう。福岡県福津市の津屋崎海岸から近い農地で、イタリア野菜を無農薬・有機農法、減農薬、自然農法で栽培している農家さんがいると聞いてお話を伺いに行ってきました。シルビオ カラナンテさんと花田愛さんです。
▲3年前からイタリア野菜を作っているシルビオさんと愛さんご夫妻
料理人だったシルビオさんと愛さんはイタリアで知り合い7年前に結婚したそうです。その後、アフリカ滞在を経て日本に戻ってきました。シルビオさんは日本でも料理人として働いていましたが、イタリアの野菜が少ないので自分たちで作ろうと思いました。
農園の近くの津屋崎は愛さんの生まれ故郷です。イタリア野菜は、愛さんのお母さまの同級生の農地をお借りして作っています。ここで3年前から、農業の指導を受けながら、他の生産者さんと共に無農薬・有機栽培、減農薬栽培を行っています。最近はバイオダイナミック農業も始められたとか。
少しでも身体に良いものを提供したいという思いの一方で、愛さんは、コテコテの完全無農薬、有機栽培にはこだわっていないそう。楽しく作っているので楽しんで食べてほしいということです。
野菜作りの苦労はありますか、という質問に、お二人とも「特にないです。腰が痛くなることと虫がつくことくらいかな」という返事でした。
イタリアでは、オーガニックの野菜は身近にあってすぐに買えますが、日本ではオーガニック野菜が置いてある場所が少ないと感じていました。そこで土日のみの営業ですが「イタリア野菜&セレクトショップ A.PUTEC」をオープンさせたのです。
A.PUTECとはイタリア語で〝いろいろ揃う“という意味だそう。八百屋さんのように野菜が並びオリーブオイル、パスタ、天然酵母のパン、オーガニック石鹸、味わいのある食器、麻のランチョンマットなどがセンスよく配置された気持ちの良い空間です。日本では珍しいイタリア野菜の調理方法などをお客さまと対話しながら販売しています。
日本の野菜も美味しいけれど、食文化にアメリカの影響が大きいのではないかと、愛さんは語ります。添加物などに無くても良いものが使われているというのです。そのあたりは、私たち消費者も学んでいかなければならない課題です。
▲ランチョンマットやカフェエプロンなど食に関するものが置かれています
イタリア野菜は、オリーブオイルとバルサミコ酢くらいしか使わないシンプルな調理方法で、そのまま味わっても美味しいですが、じっくり煮込むとお肉や魚を使わなくても十分に出汁がでるのでマクロビオテックにも適しているそうです。
楽しくて身体も喜ぶイタリア野菜。シルビオさんと愛さんの生き方は、「生きていくうえでの優先順位は、ここで身体に贅沢をしたい」というもの。食は人生の基本となるものです。この地で人生を楽しみながら作られているイタリア野菜が、美味しい秘密を垣間見ることができました。
A.PUTEC(アプテカ) http://tcf-a.net/a_putec/
福岡県福津市奴山1213-2
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執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |