熊本・南阿蘇から100%プラントベース「Natural Junkfood」のものづくりと広がっていく場づくり


熊本県南阿蘇という自然豊かな場所で、心や体と向き合いながらつくられている、ちょっと素敵な食品を見つけました。遊び心に満ちて余裕がある。その場所で暮らすことから始まったようなものづくりです。

10月は朝日がまっすぐに戸口まで差し込んでくるところ

100%プラントベースの「Natural Junkfood(ナチュラル・ジャンクフード)」。ネーミングと可愛いパッケージも気になります。並ぶのは、美味しいおやつやバターなど、柔軟な考え方でライフスタイルに摂り入れたいものばかり。

きつね穴の森と呼ばれていた場所にあることから「フォックス」と名付けられた住まいを訪ねると、つくり手の山川千代(やまかわ ちよ)さんとベルギー人のYamakawa Jonathan(ヤマカワ ヨナタン)さんが迎えてくれました。

千代さんとヨナタンさん

腸から心へ、脳まで解放されるプラントベースフード

二人は東京で知り合って、数年間ベルギーで暮らしたそうベルギーで千代さんは食に関する仕事に携わっていました。その後、帰国してすぐに南阿蘇へ移住。Natural Junkfood」の原材料は、なるべく地元や九州産をメインに有機や自然栽培のものにこだわっています。

加工食品をつくっているのは千代さん、ヨナタンさんは商品のブランディングを担当しています。

冬には暖かく心地よい薪ストーブ

動物たちものんびりした雰囲気

加工食品をつくり始めたのは、20164月に地震の後、2017年からだとか。(以下、敬称略)

千代「そうですね。近くに親しいお米農家さんがいて、何かお米を使ったお菓子をつくって欲しいと言われて。最初につくったのが米粉のサブレ『山のおやつ』なんです」

有機玄米でつくられた米粉のサブレは、サクサクとゴマのツブツブの両方を感じながら口の中で溶けていく不思議な食感。それぞれ違う5種類の素材の味が効いています。

山型のパッケージがキュート
山のおやつ 48g :450円(税込)
黒ゴマ、チョコ、味噌、ジンジャースパイス、緑茶の5つの味

その後、自然栽培の小麦粉を使ったワッフルに続き「ココマメバター」を開発。ココナッツオイルと豆乳をベースに乳酸菌と米麹を加え熟成・発酵させたバターです。親類の方の病気をきっかけに食の大切さに気づき、実験的に1年半くらいヴィーガンの時期を過ごしたこともあったそう。

千代「やっぱり美味しいものを食べたいですから、単純にバターが食べたいなと思いました。じゃあ、植物原料でバターをつくっちゃおうか! と。ココナッツオイルと豆乳でつくったヨーグルトが主原料なので『ココマメ』と名付けました。お互いを引き立て合う原料で、体が喜ぶバター(笑)」

ヨナタン「ココナッツの香りはしますが、普通のバターと同じように使えて、料理したくなるバターなんです。ご飯の上にココマメバターと醤油を乗っけて食べると最高です!」

ギルトフリーの美味しいバター
ココマメバター 90g:940円(税込)

「ナチュラル・ジャンクフード」という反対の意味を持つ名称は、どこか違和感があるような。一般的にジャンクフードと言えば、高カロリー低栄養食品のこと。

ヨナタン「つくるのはジャンクフードのように、いつも遊び心を生かしています。パンチのある意外な食材の組み合わせや味付けなど。ラベルやパッケージ、キャラクターまでシリアス過ぎず可愛いものにしています」

千代「そうそう、私もジャンクフードだなと思いました。ハンバーガーもポテトも大好きなので、ジャンクフードがナチュラルだったらいいよね、と話して。ナチュラルなお菓子を超える楽しさも味わって欲しいです」

工房でものづくり

美味しくて体にも良くて、ローカルでトレーサビリティがわかるものを提供したいという思い。そして、ヴィーガンにこだわらず、たくさんの人に食べて欲しいといいます。100%プラントベースの食品を摂ることで体感したことがあったそう。

千代「植物性の食を中心にしてから、腸の調子が良くなって、次の日は体も軽くなって。それは体感しないと広まっていかないなと思いました」

ヨナタン「ココマメバターはパンに分厚く塗って食べても、オイルが良いので痩せていくんです。食生活を変えてから、93kgあった体重が71kgになりました。頭のモヤモヤしたものが消えていったというか…。腸が解放されて心が解放されて、最後に脳がクリアになって視野が広がった感覚です」

「遊び場」になる工房に隣接した倉庫

縫製工場だったところを改装して、新たな事業も始める予定です。

ヨナタン「地域の遊び場をつくりたいなと思って。1階は加工場やラボ、ビリヤードや卓球もあります。2階には、シェアハウスをつくる予定なので、外から来た人も地域に住んでいる人も一緒に遊べる場所。アーティスト・イン・レジデンスできる形もつくりたいです。人が集まっていろいろな刺激を受け、新たな展開が始まる…充電ステーションのようなイメージ。どんどんエネルギー交換して、いろいろなプロジェクトまで広がってほしいと思っています」

人が出会い、交流する場。そこは、たくさんのエネルギーが循環するところ。「Natural Junkfood」という名のとおり、相反する多様性までも受容する大きな心を感じました。

 

natural junkfood   https://naturaljunkfood.com/
natural junkfood – STORES  https://naturaljunkfood.stores.jp/
instagram  https://www.instagram.com/naturaljunkfood.chafe/

 

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執筆者:奥田 景子

ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。

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