日本の各地域で、特性を活かした産官民連携の持続可能な取り組みが進んでいます。SDGs目標11に掲げられている「安心して住み続けられるまち」。まちづくりに求められるのは、明確な長期ビジョン、次世代へつなぐ資源が循環する産業の形成、魅力的なものづくりなど。
福岡県中西部に位置する太宰府市を拠点に活動を展開する「株式会社コーシェリジャパン」。ウェルネスに重点を置き、キャンドルを取り入れたサステナブルなライフスタイルを発信しています。ウェルネスは、「健康を基盤として豊かな人生、輝く人生を目的とする」ことを提唱(参考:国立大学法人琉球大学「ウェルネス研究分野」ウェルネスとは)。
「株式会社コーシェリジャパン」から、福岡、熊本、宮崎の廃棄される原料を使ったフレグランスキャンドルが先行予約販売されました。3つのコレクションの中で、地域で取り組まれたのが、「Ume & Cedarwood from Dazaifu, Fukuoka」。太宰府では天満宮に梅を献木する風習があるため、200種6000本もの梅の木があります。
筑紫野市・二日市「KOSelig JAPAN cafe」で開催された発表会
左)大賀酒造株式会社取締役 大賀喜一郎(おおが きいちろう)氏
中)株式会社コーシェリジャパンCEO 織井敬太郎(おりい けいたろう)氏
右)太宰府市長 楠田大蔵(くすだ だいぞう)氏
廃棄瓶のリユースで連携があった「大賀酒造株式会社」から、梅酒生産後「まだ香りがあるのに廃棄していた太宰府の梅を使って何かできないか」と始まった商品開発。令和3年度から梅を資源活用するプロジェクトを行っていた太宰府市も共に加わりました。
5月29日には、「株式会社コーシェリジャパン」と「太宰府市」、隣接する筑紫野市にある福岡最古の酒蔵「大賀酒造株式会社」とのコラボで完成したフレグランスキャンドルの記者発表が行われました。
ナチュラルでサステナブル。そして九州の魅力を世界へ
左)New Summer Orange from Nichinan, Miyazaki
中)Ume & Cedarwood from Dazaifu, Fukuoka
右)Hinoki & Volcano from Aso, Kumamoto
各6,732円(7月1日まで15%オフの予約販売限定価格)
コレクションのブランド名は「9KOS(ナインコース)」。九州の「9」とKOSeligの「KOS」を組み合わせたものだそう。
ロウは大豆由来の100%天然のソイワックスを使用。研究開発を繰り返し、太宰府・無農薬の廃棄梅、熊本・阿蘇の間伐材のヒノキ、宮崎・日南市の規格外の日向夏から抽出した香りをブレンドしたオリジナルフレグランスを製造。いずれのフレグランスも高品質で、力強い香りを感じます。また、蓋には有田焼の白磁を採用。織井さんは、再発見した九州の魅力を「太宰府から日本全国、さらに世界へ発信していきたい」と語ります。
九州各県の農家さんを訪ね歩いたそう
歴史と観光。筑紫野・太宰府地域の活性化へ
200kgの漬け梅から5000個のキャンドルが完成
ブレンドされたシダーウッドは勉学の神様にちなみ“鉛筆”の香り
パネルディスカッションでは、「香りによるアフターコロナの地域活性化」について議論が交わされました。
「大賀酒造株式会社」は、延宝元年に創業された県内最古の酒蔵。そんな歴史的な背景を大切にしたチャレンジだったと言います。織井さんと同世代の大賀さんは、「伝統的なものづくりは、先代の思いを継続していかなければならない。その一方、現状では原材料に廃棄するものがたくさんあります。それらを何かに生まれ変わる技術を持つ人たちと一緒にものづくりして、伝統を損なうことなく新たな価値が生まれた。率直に嬉しくて貴重な体験になりましたね」。
また、楠田大蔵太宰府市長は、観光地のあり方を指摘しています。「筑紫野・太宰府地域は歴史が古いところですが、とくに太宰府はコロナ禍に大きな影響を受けました。私も新たな価値を高めることは必要だと感じました。『福岡県立福岡農業高等学校』の生徒が収穫した梅を使った商品開発を進めています。これからさらに地域が一体となって、何かしらの体験を提供することも、観光の鍵になるのではと思っています!」。
そして「記憶と香りは密接なもの。生まれ育った場所の香りに加えて、観光で訪れた場所での香りも良い思い出と感じてもらえるのでは」と言う織井さん。
心が温かくなるキャンドルの灯りがともるKOSelig LAPAN cafe
地域の課題は若者の人口流出がおもな要因。福岡市のベッドタウンである筑紫野地域では、人口は増加傾向にあるものの高齢化が進んでいます(参考:筑紫野市「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」)。安心して暮らせるまちに、香りで「記憶に残るまち」もポイントになるのでは。魅力的な仕事があり心地よく過ごせる場所の香りは、観光客のリピートや移住者の増加のきっかけにもなりそうです。
※サシェ、ディフューザー、お香を順次発売予定
株式会社コーシェリジャパン https://koseligjapan.com/
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