ナチュラルローソン商品部部長が語るナチュラルローソンの“いま”と“これから”

9月29日(火)、第7回フードマーケティングセミナーが、「美と健康」をテーマとし、「独自の商品採用基準を設ける」「店舗数を多くしない」「ローカル色が高い商品に焦点を当てる」等、既存のコンビニエンスストアとの違いをより明確に打ち出した経営手法で顧客獲得している株式会社ローソン商品本部 ナチュラルローソン商品部部長である稲葉 潤一氏を迎えて開催された。
 
当セミナーは、日本のオーガニック業界をけん引してきた一般社団法人フードトラストプロジェクト代表徳江倫明をコーディネータに、マーケティングの見地から日本の食ビジネスを分析してきた法政大学大学院・小川孔輔教授をファシリテーターとして、食品生産・流通・販売を手掛ける「旬な仕掛け人」をゲストに迎え催行するもの。
 
今回のタイトルは:ナチュラルローソンの“いま”と“これから”-ローソンはコンビニ業界のイノベーション・リーダーに成り得るか?
 
2012年6月からナチュラルローソン商品部に籍を置く稲葉氏。業績は以前から低迷していたが、就任後も売上高前年比が100%を大幅に切る状態が8か月間続いたという。
 
ファンが多いのに、お店の売上げがなぜ伸びないのかとおもい、お客様の行動・性格を調査してわかったこと:
● 情報量が多い商品説明を時間をかけて読む人が多い…女性だけでなく男性も
● 他コンビニと比べて高額なデリカ(サラダ)や菓子は良く売れる…女性客が多い
 
このようなことを踏まえ、とりわけ夜、お客様を呼べる商品として見つけたのがワイン-他商品と組み合わせて買ってもらえるので、客単価上昇…買い合わせ商品は、ワインの前に飲むクラフトビール、つまみのチーズや地域や期間限定の缶詰など。


 ワイン導入から、売上げは25ヶ月連続前年クリアへと転換した。
 
ナチュラルローソンらしさへの脱皮
 
100店舗だからできるものを売る-地域のユニークなものを売る、すなわち、東京で買えない、地域で愛されているものをナチュラルローソンだけで売る戦略
そのためにはあえて仕入れ方針転換や、商品開発にも踏み込む:
● 欠品してもOK…数量減定
● 販売期間中、欠品が出て販売打切りでもOK…数量事前確定と期間限定(旬)
● 生産者(ディーラー)とともにお客様が求める商品、人にプレゼントできる商品を開発
 
こうして、お客様ニーズに合った商品を提供できるようになり、ナチュラルローソンらしさがアピールできるようになる:
1.ナチュラルローソンでしか買えないもの
2.オシャレなもの
3.健康を意識しているもの
…「ご褒美感」があり、「ココロ」も満たされる店となる。
 
ナチュラルローソンの「これから」は:
1.バイイングというスタイルからの脱却
2.グループ会社の成城石井とともに、いいものを世界から
3.地域と連携してプレミアム商品を地方から



 稲葉氏の講演のあと、(一社)フードトラストプロジェクト代表徳江氏は、セミナー開催日時点で114店舗で展開し、最大でも300店舗と、店舗数を限定して出すこと、すなわち、サイズの意味するところが意味深いと、感想を述べられた。徳江氏の経験からも、生産の本質に見合った流通を作ることが重要であるという。
 
稲葉氏の講演では「オーガニック」という言葉は出なかったが、稲葉氏のやり方で商品を集めると、オーガニックのものは多くなることは間違いない。そのようなこだわり商品を扱う、近未来的なコンビニの形がナチュラルローソンである。
 
小川教授のまとめ
法政大学経営大学院の小川孔輔教授は、ここ2年ほどの間に大きな変化を見せたナチュラルローソンのビジネスモデルは、世の中にないまったく新しいモデルであるとして、稲葉氏の講演のポイントを3つ挙げられた:
 
1.数量限定販売-売り切れごめん
2.期間限定-売り切ったら期間中でも販売打切り
3.バイイングの転換…コンビニが初めてSPA(製造小売)に踏み込んだ
お店に並ぶ商品の5-10%がこの3つの方針を踏まえたものと思われる。
売上げ規模を追わないビジネスモデルなので、粗利を重視しなければならない。
 
小川教授からの質問は:
Q 成城石井との提携はナチュラルローソンにとってプラスとなっていると思われるが、これがローソン本体にどう取り入れられるか。ナチュラルローソンのビジネスモデルをローソン本体で展開できるのか
A ローソン全体としては、現状では難しいと思われるが、200店舗ほどで展開する県単位であれば可能性は出てくる。同じ規模のナチュラルローソンのモデルを県ローソンも取り入れることができるからだ。
 
地方顧客の支持が熱い地場スーパーとローソンとの差が出るポイントは次の3点:
1.野菜 ローソンとしてはいかに地場に近いものを引っ張れるか、半加工までできるかが勝負
2.お惣菜系
3.調味料系
 
地場スーパーとの提携などでこの点を埋めれば、可能性はある。現在、一番可能性が高いと思われる県は、沖縄、次は高知か。
 
Q 加工と原材料の調達を行うとインフラができてくるが、生産者・メーカーとのパイプ/インフラをどう作っているか、コツは何か
A パイプは、ナチュラルローソンサイドからは作れない。地方のいいもについての情報も集めきれない。展示会などでの、単に名刺交換ぐらいでは覚えてもらえない。
地方のいいものを探すうちに、自分が全部やりますという役所担当者とのパイプができて初めてやっていける。たとえば、現在、うまくいっているのは高知県のものを売り込む高知県地産外商公社など。
 
 
講演終了後に、個人的に質問できる機会があったので、ナチュラルローソンにはオーガニックの商材が多いが、オーガニックにフォーカスしたのか。オーガニックについてのスタッフの教育はどうなっているのか聞いてみた。
 
オーガニックという観点からはぜんぜん取り組んでいない。美と健康に良い、こだわりの商品として扱ったところ、オーガニックのものが多く揃ったというのが実際のところ。スタッフのオーガニックに関する知識や情報についての研修もこれからというところであるとのことであった。


 稲葉潤一(いなばじゅんいち) 株式会社ローソン商品本部 ナチュラルローソン商品部部長。

少ない店舗数だからこそ出来る“希少性の追求”をテーマとし、 少量でも数量限定でも本当に良いものを売るべく、日本中の産地に足を運んでいる。本当に美味しいものは地元にある鮮度のいいものであると体感したことから、単に商品を仕入れるだけでなく、観光誘致など、地域と共に活動していきたいと考えている。
 
 
 
 

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