前回のコラムでご紹介したハロウィン同様「イベント」として定着しているクリスマスですが、キリスト教の学校で育った私にとってクリスマスは特別な日。ミサに参加したりやキリスト降誕にまつわる物語を演じる「降誕劇」に出演したことは、クリスマスのなつかしい思い出です。今回のコラムでは、世界中の人々が楽しみに待つクリスマスについてご紹介したいと思います。
今ではさまざまな形のオーナメントが
クリスマス
クリスマスの由来は「Christ(キリスト)のMass(ミサ・典礼)」。12月25日に開催されるイエス・キリストの降誕をお祝いするキリスト教の祭事。1月5日までの12日間を「降誕節」と呼び、クリスマスのお祝いをします。おもしろいのは正確な誕生日は不明で、なぜ12月25日なのかもはっきりとわかっていないところ。
12月25日前後に執り行われていたローマ帝国の土着のお祭り「農耕の儀式」に合わせた説や、北ヨーロッパに住んでいたゲルマン人の冬至のお祭り「ユール」がキリスト教に取り込まれたという説など、諸説あるそう。今でもクリスマスの本場がヨーロッパとされるのは、この流れがあるからです。
アドベント
イエス・キリストの降誕を待ち望む期間(12月25日の4週間前の日曜日から12月24日まで)が「アドベント(待降節)」。クリスマスまでの日数を数えるためのカレンダーがアドベントカレンダー。窓がモチーフ。12月1日から毎日一つずつ窓を開け、全てを開け終えるとクリスマスがやってきます。
近年ではアドベントのお菓子や紅茶も。毎年私は一年間がんばったご褒美にオーガニックアドベントティーを買います。今年はオーガニックにこだわったイギリスの紅茶メーカー「English Tea Shop」のもの。13種類のフレーバーティーが入っています。紙でできたパッケージには穴が空いていてクリスマスツリーに飾ることもでき、プレゼントにも喜ばれそう。カラフルなパッケージは見ているだけで心ときめきます。
アドベントティー
クリスマスツリーとオーナメント
クリスマスツリーに使用される木はモミの木などの常緑樹。一年中枯れずに葉を茂らせるので「永遠の象徴」とされています。
また、最初の人間であるアダムとイブが神から『「知恵の樹」になる実を食べてはならない』と言われたことが記された旧約聖書の「知恵の樹」を表しているという説も。
ツリーを華やかに飾るオーナメントは、神の命に背き食べてしまった「知恵の樹」の果実(禁断の果実)であるリンゴをイメージして丸いボールに。クリスマスツリーの一番上にある星は、キリストの降誕したときにひときわ輝いていた「ベツレヘムの星」を再現したもの。何気なく見ているものにも深い由来があるのです。
日本では26日になると街からクリスマスツリーが消え、一気にお正月ムード。しかし、本来は降誕節の翌日である1月6日に片づけます。 その日は「エピファニー(公現祭)」と言われ、キリストの誕生を知った東方の三博士がキリストのもとを訪れたとされる日です。私もツリーは出したまま。毎年とても華やかなお正月を過ごせます。
サンタクロースとクリスマスプレゼント
4世紀ごろ東ローマ帝国(現在のトルコ)に実在したキリスト教の聖人、聖ニコラウスがモデルと言われています。
さまざまなことで不幸な人々を助けた聖ニコラウス。ある日、貧困のため三人の娘を身売りしなければなくなった家族を救うため、真夜中に窓から金貨を投げ入れその一家を助けた、と。その金貨が暖炉に吊るしてあった靴下に入ったことから「サンタクロースは真夜中に来て靴下の中にプレゼントを入れる」と語り継がれることになったのです。
母と楽しむわが家のクリスマスディナー
わが家のクリスマスは、高さ180cmのツリーを飾り、クリスマスらしいテーブルセッティングをして母と食事を楽しみます。特別なプレゼントはしませんが、このひと時が何よりの「プレゼント」になっているよう。毎年とても喜んでくれます。
街のあちらこちらにイルミネーションが灯り、一年で一番華やぐ季節。寒くても気持ちが温かになります。世界中で愛と平和に満ちた祝福の日とされるクリスマス。2024年を締めくくる前にちょっと立ち止まり、愛する人々と共に一年を振り返りながら希望とびを分かち合う。そんな素敵なクリスマスが皆さまの元に訪れますように。
ポジティブ・エイジング アドバイザー、健康管理士一般指導員、食育インストラクター。福岡市出身。時間とともになんとなく年をとるのではなく、加齢に対して前向きに準備をしながら素敵な年齢を積み重ねてゆく=「ポジティブ・エイジング」を提唱。東洋医学のある暮らしでうつ病や難病も克服。お子さんからシニアまで幅広い世代の方に、セミナーや講演会を開催。福岡県立高等学校食育出前講座、西南学院大学市民講座などの講師を務める。