「シャンクティティ」は、エコツアーの参加や、パーマカルチャー、自然農、持続可能な建物の仕組みが学べる、体験型ゲストハウス。このゲストハウスを経営するのは臼井健二さんです。
臼井さんは30年以上前、「自給自足のエコロジーライフを通じて、皆さんのお世話をしたい」と、信州北アルプスの山麓、安曇野に持続可能な暮らしと半セルフビルド・自給自足型の宿「舎爐夢(シャロム)ヒュッテ」を始めました。
そこから、宿とレストラン、農を分離し小さい組織にしてゲストハウス「シャンクティティ」は生まれました。毎年開催されるパーマカルチャー安曇野塾では、個々の人の自立と全体の調和を考えた新しい地域社会のありかたに対する実践が学ばれています。
パーマカルチャーは、単なる自然に恵まれた地域での自給自足に留まらず、都市生活においても適用されるものだとか。病院や薬に依存せず自分で健康な身体をつくる(セルフケア)、地域のコミュニテーに関わること、経済、建築、伝達(メディア)など、人のくらしの全てに密着したものであるそう。
「シャンクティティ」では、まず循環を考え、自然エネルギーを活用したり、排出・廃棄されるものを再利用したり、環境に対する負荷を最小になるよう実践されています。
人と人がつながることが目的で、ヨーガ、アーユルヴェーダ、自然農をベースにしたマクロビオティック、手仕事など、さまざまなワークショップも行われています。
臼井さん自身が、ゲストハウス「シャンクティティ」を通じて、さまざまな体験から学びたい気持ちがあったとか。
山小屋(シャロムヒュッテ)での日々が、あまりにも理想に近い暮らしだったんですね。雨が降ればみんな濡れるし、太陽が出ればみんなが暖かみを感じられる。とても平和な時間でした。でも、人間同士って、もっと色々な側面があるじゃないですか。そういうもっと人にまみれる暮らしを学びたいなという思いと、山小屋で働いたことで、自分の理想とする宿をやってみたいなという思いが重なってきたんです。
それともうひとつ。山小屋には生産ということがない。消費社会なんですよね。街で買ったもので暮らしている。それだったら、都会で暮らすのと一緒です。やっぱり、種を蒔いて作るという、インプットとアウトプットが循環する生活。それが本当の世界だと思っていました。
一口5万円の出資を募り2500万円が集まったそう。足りない分は自分たちで作業して、つくりあげていきました。
「仕事とは人の役に立つこと」という臼井さんの「持続可能な幸福感に満ちた社会」とは、パーマカルチャーや自然農の考え、知足の暮らしに ワールドシフト、トランジションする社会。それは、シュタイナーやガンジーが目指した社会でもあります。
7月18日から8月28日までは、何日でも参加可能な「ノコ的夏休みの心地よいくらし合宿」があります。決まったスケジュールのないゆるゆるのワークショップ、畑の作物を収穫してかまどでご飯を作ってたべるなど、自然の循環を学びながら、自然そのものとなった感覚も味わいに、ぜひ参加してみてください。
*ノコとは、インドの先住民ワリル族の言葉で「もう十分です」という意味
シャンクティティ/宿泊のお問い合わせ: http://www.ultraman.gr.jp/shantikuthi/
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執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |