映画『グリーン・ライ ~エコの嘘~』 ~「環境に優しい」商品のヤバい現実~

SDGs達成が叫ばれ、気候変動により世界各地で災害が勃発していますが、我々の日常生活でどのようなアクションを起こせているのでしょうか。

比較的意識が高まり、極力環境に配慮したラベルを選択するようにしている?広告宣伝や一部を過大PRしてあたかもその商品を購入するだけで、サスティナブルな企業活動を応援出来ているかのような演出に陶酔しているだけでは?と問いを投げかけるのは、ヴェルナー・ブーテ監督。

グリーン・ウォッシングの専門家カトリン・ハートマンと共に世界の調査へと世界一周の航空券を手にします。飛行機は大量のCO2を排出するので、森づくりや再生可能エネルギーによって二酸化炭素を吸収する「クレジット」を購入し、「カーボンオフセット」にして。

グリーンウォッシング (Greenwashing) とは、環境配慮していると見せかけて、実態は全く逆で環境に悪影響を与えている企業 の行動や企業を示す言葉。「グリーン」は環境、「ウォッシング」は洗濯。緑のイメージで誤魔化すことを意味します。

カトリン・ハートマンは、企業が商品を「サスティナブル」、「環境に優しい」商品とラベルを貼り宣伝するが、実態は正反対である事実を暴くジャーナリスト。「持続可能なパーム油などない」と断定します。

パーム油なんて使ってないと一般の人は思いがちですが、実はチョコレートのコーティングやポテトチップスなどに使用されており、植物油脂と表示されています。パーム油は安定的供給と値段の安さで我々消費者が知らないうちに様々な食材などで使用され、日本人一人あたり年間4kgの消費量になるそうです。

そのパーム油の生産に、地球の肺であったインドネシアやマレーシアの誇大な熱帯雨林がアブラヤシのプランテーションを作るために、焼き払われています。気候変動に悪影響を及ぼすメタンガスや二酸化炭素を大量に排出してしまうばかりでなく、土地を奪われる人々との紛争、農園運営での強制労働や児童労働を含む人権侵害も頻発しているのです。

そのような問題を改善するため、2004年に持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)が設立されましたが、その監査体制が不十分で問題のある農園もRSPO認証を得てしまっている場合もあり、我々が「環境に配慮している」と謳っているからといって安易に購買することに警笛を鳴らしています。

その他、アメリカのルイジアナ州で起こったBP社の石油掘削施設の事故、2010年メキシコ湾原油流出事故の余波を調査。BP社は流出したオイルを除去する代わりに、有毒な油分散剤である石油分散剤を海に撒き、海底に沈めたことで、いまなお有毒な油塊(タールボール)が海岸に流れ着いている現実も映し出されます。

ブラジル、ドイツ、アメリカと世界中の問題がギュッと詰まったドキュメンタリー映画となっています。

是非、本作品を鑑賞し、世界が直面している環境に優しいと謳われる企業製品の嘘を、そしてそれに闘っている人が世界中にいることも知ってください。

■映画概要
GREEN LIE エコの嘘
監督:ヴェルナー・ブーテ 配給:ユナイテッドピープル
97分/オーストリア/2018年
2020年3月28日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー


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執筆者:ルミコ ハーモニー

アーティスト・活動家。日本生まれ。フィンランド人と結婚後3児と国際的な暮らしを実践。親子で国際交流を支援するNPO法人ザ・グローバル・ファミリーズ創立者/副理事長。英語でアートをやる集団LITTLE ARTISTS LEAGUE創立者/アートディレクター。株式会社アマナ コミュニティマーケティングDiv.コミュニティプロデューサーとして多方面にて活動中。

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