おひるねみかんODAWARA発電所
今年も9月16日~18日に「オーガニックライフスタイルEXPO 2022」が開催されました。公式来場者数は14,012人にのぼり、とても活気を感じる展示会でした。出展者数は215社、団体や生産者238小間。日本全体でより循環型社会へ向かう取り組みが進んでいることを実感しました。
中でも印象に残ったのは、再生可能エネルギー事業を取り組んできた「みんな電力株式会社」から、昨年10月1日に商号変更した「株式会社UPDATER(アップデーター)」。
すべて関連性を持って実行されている、数々のプロジェクトの一部をご紹介します。
再エネから異なる産業を循環型にするシステム
「株式会社UPDATER(旧:みんな電力株式会社)」は、独自のブロックチェーン技術を基盤とした「顔の見える化」を実現させてきました。「顔の見える」とは、ブロックチェーンによって情報を改ざんされることなく、誰に・いつ・どのように役立っているかを見える化するということ。
農業は天候に左右されやすく、収入が安定しないこともある一方で、同時に太陽光で発電し売ることで電力販売の収益が安定します。まずは農業を行っている土地の上に太陽光パネルを設置して、太陽光発電と農業を同時に行うソーラーシェアリングを提案。ソーラーシェアリングは、農業就労人口の増加や耕作放棄地の削減につながる土壌再生型も提供されています。
有機農業支援につながるソーラーシェアリング
さらに、農地は大気中のCO2を吸収し、貯留することが分かってきており、土壌のCO2吸収量は陸上植生のおよそ3倍という研究結果も報告されています。いま有機農地は地球温暖化対策のひとつとしても注目されています。
「株式会社 UPDATER」から、
みんな電力の展示風景の様子
「株式会社グリーンシステムコーポレーション」(以降、GSCと表記)と業務提携して進められた、有機農業支援型ソーラーシェアリングでは、栃木県宇都宮市にある営農型太陽光発電所を「阿久津さんの有機小麦太陽光発電所」としています。発電した電力を契約のある法人の需要量と30分ごとにマッチングし、「顔の見える電力」として売電。
「阿久津さんの有機小麦太陽光発電所」の圃場で栽培された、化学肥料・農薬不使用で栽培された小麦を使ってつくられたパンは、GSCの食パン専門店「風弥」のサイトで、食品ロスに配慮されたロスパンとして販売されています。
また、自律分散型社会づくりの一助となりたいという思いも強く、災害にも配慮され「阿久津さんの有機小麦太陽光発電所」には非常用コンセントを常設。災害発生時に地域住民が非常用電源として利用できることを想定しているそう。目指しているのは、「顔の見える電力」のトレーサビリティと農作物のトレーサビリティの両立。次世代のソーラーシェアリングは、電力と食、地域の循環を生みだしています。
「アトリエデフ」の「木ずな」
1ヵ月50枚限定販売の循環皿:6,900円(税込)
2020年以降には、病院などの空気環境を改善するエアテック事業「みんなエアー」やモノのストーリーを伝えるオウンドメディア「TADORi 」 などを開始。「TADORi」では、日本の林業など、生産から製造までブロックチェーンの技術を活かした明確なトレーサビリティがある商品が紹介され、購入することもできます。地域や国を超えて産業の創出と応援につながっているものです。
「株式会社 UPDATER」は、自身もアップデートしていく気持ちを常に忘れずに、これからさまざまなブラックボックスを見える化していきたいといいます。社会課題解決の糸口を生み出し、世界をアップデートすることに挑戦していくそう。見える化は、深い信頼関係に通じるもの。社会の中で、隠されている部分に光をあて、不自然なことや違和感があるところを持続可能な循環型へ修正していく事業を心強く感じました。
株式会社UPDATER https://updater.co.jp/
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ソーラーシェアリング, ブロックチェーン, 再生可能エネルギー, 有機農業支援