「MaskBook」新型コロナ時代と環境問題について考えるフランス発祥のアートプロジェクト

世界的パンデミックをもたらしている新型コロナウィルスの感染予防に、マスクの存在が世界的に見直されています。比較的アジアなどの国ではマスクはポピュラーで装着に抵抗はありませんが、欧米では顔の一部を隠すマスクに抵抗を覚える人も少なくありません。

環境問題においても重要な役割を果たすマスクをアートすることを目的として始まった「MaskBook」が、 2020年夏より日本で、アート団体「LITTLE ARTISTS LEAGUE(リトル・アーティスト・リー グ)によって展開されます。 

 

新型コロナ時代と環境問題について考えるプロジェクト「MaskBook

MaskBookはフランスを拠点にアートで環境問題に取り組む団体「Art of Change 21」と、中国のアーティスト Wen Fangのコラボによって、2015年パリで開催されたCOP21(気候変動枠組条約締約国会議)で生まれたプロジェクトであり、大気汚染・地球温暖化・感染大流行・ごみ問題などをテーマとしたコレクティブアートプロジェクトです。

アーティストのみに留まらず、世界中の誰もがクリエイティビティをもってして、不安や恐怖をも誘起するマスクを、環境問題のクリエイティブ・アクション・ツールと捉えます。現在50ヶ国以上6000人以上の方々が参加し、日本から は建築家の安藤忠雄氏が参加するなど、世界中の著名人も多く参加しています。

オンラインギャラリーのみに留まらず、20ヶ国以上200ほどのワークショップも開催され、20以上の国際展覧会も開催されています。

2020年、新型コロナウイルスの世界的な感染爆発をきっかけに、新たに「MaskBook Special Covid19」と題し、全世界からオンラインで参加者を募る企画がはじまりました。本企画では全世界から寄せられた、パンデミックと生きる一人一人のメッセージを込めたマスクアートが、オンラインギャラリーで発表されています。英語で展開される本企画の日本展開をLITTLE ARTISTS LEAGUEが実施し、より多くの日本人も参加しやすくなります。

子どもが、環境問題を考えるきっかけになり、また制作しやすいように用意されたガイドPDF はこちらからダウンロードできます。( 日本語版 / 英語版 )                                                           

 

アートで環境問題に取り組む団体「​Art of Change 21​

Art of Change 21は、2017年ヨコハマトリエンナーレにも参加したOlafur Eliassonをパトロンに迎えた非営利団体です。

2019年には、​国際連合環境計画(United Nations Environment Programme​)によるWorld Environment Day 2019(世界環境デー)にも大気汚染をテーマにキャンペーンを行っています。

Art of Change 21の創立者、ディレクターAlice Audouinより日本の参加者に向けたメージ:

「たくさんの自然災害と立ち向かってきた日本。環境と人々の健康のリンクについて否応なしに考えされてきた多くの日本のみなさんに、このプロジェクトに参加していただくことを期待しています!」

多様な問題をアートマスクのテーマに

 

大気汚染問題
人間の経済・社会活動によって、大気中の微粒子や有害な気体成分が増加し、環境や人体に影響を与えることが問題となっています。「酸性雨」「PM2.5」「黄砂」「光化学スモッグ」などで、大気汚染物質は気候変動にも影響を与えているとされています。毎年900万人の命が大気汚染によって奪われています。大気は浮遊するので、その地域や国の問題ではなく、地球問題として早急に取り組む必要があると言われて久しいです。

「BREATHE PURITY」by TIMOTHÉE, PARIS, FRANCE

温暖化問題
2100年には、地球全体の気温が5度上昇するとされています。気温が上昇すると、北極や南極の氷が溶け、海面が上昇し、家を失う人も出てきます。また今既に起こっている気候変動は、干ばつや水害の激化をもたらしています。温暖化の大きな要因として、二酸化炭素(CO2)が大気圏にベールとして溜まってしまい、それがビニールハウスのように地球の熱を放出しない問題があります。二酸化炭素の排出量を減らせる一つの方法は、地球上の森林を増やすことです。木は二酸化炭素を吸収して光合成により酸素を排出してくれるのです。

「THE CHOICE IS YOURS」by TAMARA HADDAD, BEIRUT, LEBANON

 

ゴミ問題
ゴミは焼却か、埋め立て処理されますが、焼却はプラスチックなど有害な物質が含まれていると二酸化炭素も排出され、大気汚染につながります。ゴミの埋め立ても土地の確保が必要となり20年以内にはゴミ埋め立て地がなくなってしまうと予測されています。既に世界の海に存在しているといわれるプラスチックごみは、合計で1億5,000万トン。そこへ少なくとも年間800万トン(重さにして、ジャンボジェット機5万機相当)が、新たに流入していると推定されています。ゴミのたった19%が、リサイクルされたり堆肥化されているといいます。ゼロウェイストを目指す世界の都市も増えていってますが、一人一人が意識をもって取り組まなければならない問題です。

「SEE THE SEA !」by JULIE ANSEL & SHASHA BURLET, VILLECRESNES, FRANCE

 

新型コロナの感染症問題
目に見えないウィルスを体内に入れないようにしたり人に感染させないようにする苦労のみではなく、ソーシャルディスタンスの必要性は孤立や経済悪化など、非常に複合的な問題であることが浮き彫りになっています。今なお我々は、感染症問題と戦い続けなかければならないからこそ対話が必要です。

「COVID’STYLE」by ADÈLE FLEURY, LOUVROIL, FRANCE

 

アート団体「LITTLE ARTISTS LEAGUE(リトル・アーティスト・リーグ)」

LITTLE ARTISTS LEAGUEは、2016年よりバイリンガルのア ーティストママ3人が率いるアート団体です。アートと海外にバックグラウンドを持つことを活かして、アートを通じて、多文化 や多言語、そして表現の多様性に触れることで、柔軟な発想とグローバルな視野を育む取り組みをしています。アート性やデザイン性が高く、グローバルマインドを培うことができるLITTLE ARTISTS LEAGUEの活動は、子どものみにとどまらず幅広い層から人気を博しています。

2020年9月には、自然とのつながりの花のプロジェクト、2021年3月にも環境問題を喚起する作品の発表が予定されています。

「JELLIFICATION」 by LITTLE ARTISTS LEAGUE Photo by Nanako Koyama

新型コロナウィルスという目に見えない脅威にさらされ、世界中の人が自宅隔離を余儀なくされている2020年。今まで当たり前だった自由な外出がリスクに変わり、隔離社会での生き方を新たに模索せざるを得ません。クラゲが海を浮遊する様は、マスクを装着することで我々が外出できることに重なります。

また、環境問題により大量の種が絶滅危惧される時代に相反したクラゲの増殖は、現代の惨状を皮肉にも映し出していると言えます。クラゲの捕食者であるマグロやウミガメが減少し、海洋の「ジェリフィケーション(クラゲ化)」が進んでいます。わずか数センチのプラスチックごみでも、クラゲの繁殖コロニーとしての機能を果たすことができるそうです。

さらには、ソーシャルディスタンスを確保する必要がありながらも、我々は精神的なつながりや交流を求めていて、新しい形のつながりをクラゲの触手で表現しています。

 

開催概要

環境問題や新型コロナウイルスによるパンデミックをテーマにマスクをアート制作し、ポートレート写真作品をデジタル応募して頂き、オンラインギャラリーに展示します。

応募:https://www.littleartistsleague.org/events/maskbook 

期間:2020年8月1日~12月31日まで   

(オンラインギャラリーは引き続き展示されますが、LITTLE ARTISTS LEAGUEでの募集は終了となります) 

対象:どなたでも無料で参加可能   

(応募の際に必要条件が満たされない場合は、展示されないことがございますこと、ご了承くださいませ)

言語:日本語/英語

主催:LITTLE ARTISTS LEAGUE 

共催:Art of Change 21 

助成:横浜市地域文化サポート事業・ヨコハマアートサイト2020

 ※このプロジェクトは横浜トリエンナーレの応援プログラムです。

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