お正月が近づいてきました。今はおせちも洋風・中華風などと多様化していますが、元々は年神様に供える縁起物。家族の安全と健康や子孫繁栄、五穀豊穣の願いがこめられています。この時代だからこそ、改めて伝統的なおせち料理の由来を考えてみたいと思います。
おせち料理の由来
☆祝い肴三種
①黒豆…黒は「邪気を払う」色。「まめ」に働き「まめ」に暮らせますように、と無病息災を願っています。
②数の子…ニシンの卵。「二親=ニシン」から多くの子どもが生まれることから、二親の長寿と子孫繁栄を願っています。
③田作り(関東)…むかし子いわしを田の肥やしにしたら大豊作になったことから、五穀豊穣を願っています。「五万米=ごまめ」とも言われます。
☆その他
- 昆布巻…「広布(ひろめ)」と呼ばれた昆布は、「よろこぶ」の語呂合わせで「慶び広がる」ことを願っています。
- きんとん…漢字では「金団(きんとん)」。黄金色の財宝を表し、豊かな年になるようにと願っています。
- 伊達巻…元々は長崎の「カステラかまぼこ」。しゃれた身なりをする「伊達もの」の着物に似ていたので「伊達巻」と言われるように。巻き物の形から、知識が豊富になるようにと学業成就を願っています。
- えび…長いひげと、火が通ると丸くなる姿。ひげが伸び、腰が曲がるまで、と長寿を願っています。
- 紅白…かまぼこやなますなどの紅白。赤は「魔除け」、白は「神聖・清浄」を表します。
祝い箸
手ぬぐいも、鯛は「めでたい」。菱形はくずれにくい形であることから、
丈夫・健康であることや子孫繁栄を表しています。
「おめでたい木」とされる柳の木でできた「祝い箸」は、両方の先端が細くなっている「両口箸」。おせち料理は年神様へお供えし、それをさげていただくものなので、一方は神様用、もう一方は人用です。「神人共食」を意味するので、両側を使うことは控えましょう。
たたきごぼう
祝い肴三種の五穀豊穣を願う一品として関西ではたたきごぼうが作られます。地中深くに根をはるごぼう。家の基礎が堅固であることを願っています。また、ごぼうを切るのではなく「たたいて開く」のは開運を表します。オーガニックのごぼうならポリフェノールたっぷりの皮やアクもおいしくいただけます。たくさんの薬効がある赤梅酢を使ったたたきごぼうをご紹介します。
【 赤梅酢のたたきごぼう 】
〈材料〉(4人分)
・ごぼう 2本(300g)
・白いりごま 大さじ7
・メープルシロップ 大さじ1(※1)
・しょうゆ 大さじ2
・赤梅酢 大さじ2(※2)
〈作り方〉
①ごぼうは洗い泥を落とす。
②すり鉢にいりごまを入れ、好みのすり具合にする。
③②に他の調味料を入れる。
④沸騰したお湯に酢を加え(湯1Lに対し酢大さじ1)、ごぼうを3~4分茹でる。指で押してみて適度な弾力が残るくらいが目安。
⑤水気を切ったごぼうを熱いうちにすりこ木でたたいてやわらかくし、5cmの長さに切る。
⑥温かいうちに⑤を③に入れてあえ、味をなじませる。
※1 砂糖ならば大さじ1~2 ※2 米酢でもよい
めでたさが重なるよう重箱に詰めるおせち料理。わが家では高齢の母がとりやすいよう、小皿に盛ったものをお重に入れています。ここに記載していないものでも、伝統的なおせち料理にはそれぞれ由来が。毎年自分なりのアレンジで楽しんでいます。なにかと慌ただしい年末。どうぞ健やかによい新年をお迎えくださいませ。