ファッション産業の根本的な課題を探る-“FASHION REVOLUTION”の持続可能なアクションイベント

2013424日、バングラディシュの首都ダッカ近郊で複合ビルが崩壊。死者は1138人、負傷者2500人以上の大惨事となった事故は、ビルの名称から「ラナ・プラザの悲劇」と呼ばれています。この事故がファッション史上最悪と言われるのは、5000人を雇用するビル内の縫製工場でつくられていたのが海外アパレルブランドの服だったから。一部無許可で建築されたビルで働く労働者の多くは若い女性たちでした。

FASHION REVOLUTION(ファッションレボリューション)」は、この事故をきっかけにファッション産業の透明性向上を目指して2014年に立ち上がったグローバルキャンペーン。現在約100カ国がキャンペーンに賛同して参加。ラナ・プラザの事故から10年目の今年は、日本の支部局である「FASHION REVOLUTION JAPAN」によってさまざまなイベントが企画されています。

ファッション産業のこれまでとこれから

ファッション産業の変化をわかりやすく展示

64日(日)から629日(木)まで、表参道の「GYRE GALLERY」で、服と自然環境、服と作り手、服と着る人との関係を見つめる展示「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」を開催中。「事故から10年経った今、ファッション産業を取り巻く環境は変化したのだろうか? という問いを入り口に、これまでの10年をふり返り、これからの10年を見据えるため」に企画されました。リサーチに基づいて変化をビジュアライズしたインフォグラフィック、ファッション産業に関わる人たちの生の声などをマルチメディアで展示しています。

左)パタゴニア プロダクトラインディレクター マーク・リトル氏
右)FASHION REVOLUTION JAPAN プロデューサー 鎌田安里沙

610日(土)には、アメリカ・パタゴニア社のプロダクトラインディレクター、マーク・リトル氏を招いたスペシャルトークを開催。(登録制・一部有料、オンライン視聴無料)
地球を救うために、私たち生活者にできることは何かなど、ライフスタイルから価値観まで考える機会を与えてくれるトークイベント。パタゴニアのものづくりのこだわり、ブランドのあり方を知る貴重な時間になりそう。
※トーク視聴チケットはpeatixにて販売 https://peatix.com/event/3562624

背景を知ることの大切さを提案

グローバルに分業化された、長く複雑なサプライチェーンがファッション産業の特徴。日本の小売り市場で売られている衣料品の98%は、海外からの輸入というのが現状です(参考:経済産業省_サステナブルファッション)。一方でFASHION REVOLUTION」は、「ファッションの透明性を高めることで、サステナブルな産業をつくる」ため活動を続けています。

ファッション産業がどう変わったのか、変わらなかったのかを見ることができる展示内容。「開発途上国では貧困層の雇用を生み出し、先進国では安く服が買える、という仕組み」は、どう変化していくのか。服づくりに関わる声を聞くことで、私たちの価値観の再考、そして行動が試されているように感じます。

 

TWO DECADES OF HIDDEN FASHION
いま私が着ている服、あなたが着ている服は、どこから来てどこへいくのか。一つの服を選び、纏うという行為が結果的に社会に与えている影響を、私たちは日常の中でほとんど知ることができない。服を取り巻く仕事を生業にする人々の声を聞くことができない。見えない聞こえないファッションの一面を、本展を通して感じてもらえたら嬉しい。

開催期間:202364()29(
会場:GYRE GALLERY /ジャイル・ギャラリー 
住所:東京都渋谷区神宮前 5-10-1 GYRE 3F  
お問合せ:0570-056990 ナビダイヤル(11:00-18:00) オープン時間:11時-20
FASHION REVOLUTION JAPAN  https://www.fashionrevolution.org/asia/japan/

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執筆者:奥田 景子

ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。

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