鳥インフルエンザが見つかると、何万羽もの鶏が殺処分されます。まるで工場のような大きな鶏舎で、バタリーケージという狭いスペースで飼われているニワトリ。日本では、豚も妊娠ストールという狭い檻で飼われていることも。環境の良くない狭い空間では、人と同じように動物も弱く不健康になってしまうのでは。
動物や家畜を快適な環境下で飼育する「アニマルウェルフェア」(参考:農林水産省「アニマルウェルフェアについて」)。日本では、未だ「アニマルウェルフェア」が進んでいないのが現状です。国際的な動物保護活動を行なう世界動物保護協会(WAP)の2020年版動物保護指数(API)レポートでは、日本は最低ランクのGという結果でした。
それでも、小さな規模で動物達の環境に配慮しながら農業を営んでいる人がいます。自然の中でストレスなく、豚や鶏を育てている福岡県・宗像市の植仲弘和(うえなか ひろかず)さんへ話をうかがってみました。
生まれたばかりの子豚と植仲さん
前職では運送業の事務をしていたという植仲さんが、今の職業につかれたきっかけは何だったんでしょうか。
「長野県に駐在して夏野菜の輸送の手配をしていたんですが、そこの集落で営まれていた農業は平均年収が2,500万円以上、実働日数が6ヶ月ということで衝撃を受けました。自分は体を動かすことも好きだったので、農業がしたいと思ったんです。でも当時は農業の求人はほとんどなくて…そんなに簡単にいくものではありませんでしたね(笑)」
現在の農地
放牧場4,000㎡、米、麦の圃場25,000㎡
今では養豚に米や麦の栽培、さらに平飼いの鶏と野菜も栽培。もちろん農産物は化学肥料や農薬を使用していません。
「なるべく宇宙や地球、生物の流れの邪魔をしないようにと思っているんですよ。農業自体が不自然な事かもしれませんが、生き物に関しては同等だと思って接するようにしています。その中で規律を正しつつ、愛と厳しさを持って暮らしていきたいと。そんな風に日々考えています」
カシラ肉のサラミ
仕事の中で、大変なことは何でしょうか。
「豚に関しては、人と同じで幼い頃はいうことを聞かなくて…(笑)。脱走した時と放牧場を掘って壊すことです。米と麦に関しては、他の方と栽培期が違っているので、水が自由にできないことと野生動物による被害でしょうか」
農家さんにとっては大問題思ですが、長閑な印象を受けます。
人懐っこい様子
レストランにも卸されている豚肉や農産物。そこで嬉しかった出来事をお尋ねしました。
「やはり食べていただいた方から美味しいと言っていただけること。そして、他にはないほど身体に負担なくエネルギーが高い食べ物だと分かっていただいた時ですね!」
植仲さんの言うエネルギーが高いとは波動が高いというニュアンスのよう。単にエネルギー量が高い食べ物ではなく、身体に馴染んで活力がわいてくる食べ物。食べると、美味しくて元気になって感謝の気持ちでいっぱいになる。生きものの命をいただく、という意味に通じるもの。
すべての部位をありがたくいただきます
脳をオーダーする通なお客様も
「海外の方と直接話したことはないのですが、日本は環境への配慮は遅れている。畜産では飼い方、作物では薬に対する危機感の無さを感じます。
今まで、話をする機会がある時には、いろいろと話しをさせていただいたのですが、伝わっていないことが多いというのが実感。ただ、これからも自分のやり方で、無理なく倒れない農業を続けていきたいと思います」
生きものや自然に配慮した生き方、暮らし方。アニマルウェルフェアは、動物の健康だけでなく、人の健康や環境、そしてサステナビリティへとつながっています。サポートするフードビジネスにも期待したいところ。消費者としては、価格競争や情報、恐怖に煽られることないようにと強く思いました。
植仲さんの注文はコチラから
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