いつの間にハロウィンが日本でも楽しまれるようになったのでしょう? 子ども達はお菓子をもらったり、大人はコスプレをしてイベントに参加したり。でも、本当の意味合いを知らない方が多いような気がします。そこで、今回のコラムではハロウィンについてご紹介したいと思います。
ジャック・オー・ランタン
ハロウィンとは
2000年以上前、古代アイルランドに住んでいたケルト人の風習が起源と考えられています。ケルトの暦では11月1日が新年で「サウィン祭」を開催。前日の10月31日には秋の収穫物を集めてお祝い。その日には先祖の霊が戻ってくると信じられていました。死者の霊と一緒にやってくる悪霊を追い払うため、子ども達は魔女や幽霊・ゾンビ・ドラキュラなど、怖い格好に仮装。また、悪霊がいたずらをしないよう食べ物や飲み物を家の外に用意していたそう。
やがて、この風習がアメリカに移住したケルト人によってキリスト教の文化圏にも広がっていきました。キリスト教では、11月1日がキリスト教におけるすべての聖人を記念する「諸聖人の日(万節祭」All Hallows Day。10月31日はその前日なのでAll Hallows Eve。それを短縮して発音した「Halloween(ハロウィン)」が名前の由来です。
19世紀後半に「ハロウィン」として定着してからは、本来の宗教的な意味合いではなく民間行事として日本を含む多くの国々で楽しまれるようになりました。
日本におけるハロウィン
日本にハロウィンという風習が入ってきたのは1970年代。有名雑貨店や菓子メーカーが販促活動をしたことがきっかけ。1990年代になるとテーマパークがハロウィンイベントを開催。その後、大手製菓メーカーを中心にハロウィン関連商品が販売されるようになり、ハロウィンは浸透。現在に至ります。
紫芋とカボチャの茶巾絞り
ジャック・オー・ランタン
ハロウィンのシンボルと言えば、人の顔のようにくりぬいたカボチャ。「ジャック・オー・ランタン(ジャックの灯り)」と言い、古代ケルトの民話が由来です。
堕落した人生を送ったまま死んだ男性(ジャック)の魂が、天国にも地獄にも行けずにカブで作ったランタンを持って現世をさまよったそう。古代ケルト人はジャック・オー・ランタンを「飾ることで悪霊が家に寄りつかなくなる魔除け」として考えていました。
また、先祖の霊が、迷わず家に戻るための案内役でもあったとされています。日本におけるお盆の「ほおずき」と同じです。
ハロウィンがアメリカで広まったとき、生産量も多くてくりぬきやすいカボチャを代用。次第にカボチャが定着していったそう。
トリック・オア・トリート
アメリカでは仮装した子ども達が「トリック・オア・トリート(trick or treat)」(お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ!)と玄関先で声をかけて、各家庭にお菓子をおねだりするのが風習。大人たちは「ハッピーハロウィン!」と答えて、用意しているお菓子を渡します。このお菓子にも「魔除け」の意味合いが込められているのだそう。
紫芋とカボチャのスープ
こうして改めてハロウィンのことを考えると、日本のお正月と節分・お盆・収穫祭が一緒になった風習のように感じます。収穫期が終わり冬に向かう10月。日本は全国の神様が出雲に集う「神無月」。どの国においてもこの時季は特別です。
高齢の母と暮らす私。母の食欲を落とさないよう日々意識しているのは、食事を楽しくすること。毎年10月になるといつも利用している宅配で発売が始まったばかりの無農薬紫芋を注文。怖いデザインにすると食欲は失せるので、カボチャと組合せ「紫×オレンジ」のものを作ります。
夏が旬のカボチャ。追熟させ秋になって甘味を増したおいしさは格別です。飾りに使うのはオーガニックくるみ。脳と形の似たくるみは、正に集中力をアップさせたり認知機能低下を防いだりする効果があると言われています。茶巾絞りは2種類をくっつけ、ラップに包んで丸めるだけ。スープは2種類を同時にお皿に流し込むだけ。どちらも簡単です。
オーガニックや自然栽培のものはどれだけ栽培するのが大変なことでしょう。収穫の秋に感謝していただきたいと思います。皆さまも楽しいハロウィンをお迎え下さい。
五十嵐和恵
ポジティブ・エイジング アドバイザー、健康管理士一般指導員、食育インストラクター。福岡市出身。時間とともになんとなく年をとるのではなく、加齢に対して前向きに準備をしながら素敵な年齢を積み重ねてゆく=「ポジティブ・エイジング」を提唱。東洋医学のある暮らしでうつ病や難病も克服。お子さんからシニアまで幅広い世代の方に、セミナーや講演会を開催。福岡県立高等学校食育出前講座、西南学院大学市民講座などの講師を務める。
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