合成香料による健康被害が問題視される香害。香害は、化学物質過敏症を誘発するともいわれています。
JEPA(ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議)が2021年2月10日に発行した、国内初の「香害アンケート調査」によると、7000人以上が香り付きの製品のニオイで体調不良になったという結果に。同アンケートには、2019年12月下旬~2020年3月31日の3カ月間で9332件の回答が寄せられました。(参考:STOP香害–香りで苦しんでいる人がいます‐ )
香害の要因は、比較的安価な石油由来の合成香料(化学物質)。今のところ対処法は、症状を引き起こす化学物質を避けることしかありません。
そんな合成香料はもちろん、その他の合成化学物質も使用せずに、竹炭と竹炭灰から抽出した天然のミネラル成分を活用した製品をつくっている「ラレシーブオーバンブー合同会社」。
同社ブランドの「LA LESSIVE AU BAMBOU(ラレシーブオーバンブー)」は、人と地球環境に配慮した洗剤などがラインナップしています。
江戸時代に伝わる『灰汁洗い』を、サスティナブルな竹を使って、現代に甦らせたという洗剤。筆者は無香料のキッチンソープも使っていますが、使う度に心地よくなります。そんなブランドのものづくりに興味を持ち、歴史を追ってみました。
備長炭から竹炭へ 進化する竹炭ミネラル洗剤
窯入れされた竹
国内産の竹を土窯で数日間焼いた炭と灰
「ラレシーブオーバンブー合同会社」の洗剤開発の原点は、「アトピーの方から受け継いだ『備長炭と塩で洗う』という方法にあったそう。20年以上前の1999年に備長炭を使用した洗濯アイテム「備長くん」の販売を開始。
アトピーで敏感になった肌に刺激の少ない洗濯が可能なアイテムは、無添加志向の一般ユーザーに少しずつ広がっていきました。
そんな中、展示会に出展した際、「液体タイプがあればもっと使いやすいのにね」という要望がありました。これに応えるカタチで備長炭を使った液体洗剤の開発がスタート。このように、初めは、備長炭からミネラル洗剤がつくられていました。
たくさんの効力が報告されている竹炭
ちょうどその時、放置竹林の活用を考えていた竹炭事業者さんから、「備長炭で洗えるなら、竹炭を使ってもらうことはできないか?」と相談を受けたといいます。
代表の横尾宏子(よこお ひろこ)さんは、「竹は成長が早く、持続可能な資源としても優れています。こうした背景から、より環境に優しい竹炭と竹炭灰を使った洗剤へと変えていきました」と語ります。
「竹炭の活用には多くの課題があります。日本の竹林は管理が行き届いておらず、採取するごとに品質が異なるため、安定した製品づくりが困難です。それでも、日本の放置竹林問題を解決するためには、日本産の竹を活用することが不可欠なんです。市場に出回る歯ブラシやカトラリーなど、竹製品の多くは中国産の竹を使用しています。それでは日本国内の問題解決にはつながりませんよね」
放置竹林の整備につながる製品づくり
2004年、日本の森林破壊につながる放置竹林の竹を利活用した「竹炭ミネラル洗剤」の販売を開始。毎日の洗濯を通して森林保護に貢献できる新しいコンセプトの洗剤が誕生しました。
しかし、界面活性剤を使用せず、泡立ちがない竹炭ミネラル洗剤は、合成洗剤が主流だった当時、受け入れられるまでに時間がかかったそう。
2010年には、使いやすさを向上させるため、天然油脂を使用した石けん成分を加え、現在の洗剤シリーズの前身となる商品を発売。そして2013年、「ラレシーブオーバンブー合同会社」が設立されました。
竹炭ミネラル洗剤は、時代に応じてバージョンアップを重ねながら、現代のライフスタイルに適した商品へと進化。2021年に、現在の「LA LESSIVE AU BAMBOU」シリーズとして登場。
「化学物質過敏症の方々の間で口コミが広がり『なかなか使える洗剤がない中、やっと出会えた』との声をいただくようになりました。こうした声に応え続けるため、天然由来・合成化学物質無添加にこだわり続けています」
パッケージのイラストは
人気イラストレーター秋山花(あきやま はな)さんが手がけたもの
現在、「無添加・植物由来」と謳いながらも実際は合成洗剤である商品が多く出回っています。合成洗剤を避けたい人々が、誤解によって合成洗剤を選ばされてしまうことも…。
その結果、合成洗剤に含まれる合成香料によって香害を受ける人が増えてしまうことも懸念されます。
「洗剤は衣服、食器、体、住まいと、私たちの日常に密接に関わるものです。初めは影響が少なくても、長期的には大きな問題へと発展する可能性がありますよね。私たちは『すべて天然、すべて無添加』という信念のもと、製品開発を続けています」
・BAMBOO MINERALキッチンソープ(無香料)
500ml:1,870円(税込)
リフィル1000ml:2,970円(税込)
リフィル2000ml:4,675円(税込)
成分
竹炭灰抽出液・竹炭抽出液・純石けん(ココナッツ油・米油由来)
弱アルカリ性
・BAMBOO MINERALキッチンソープ(オーガニックフレッシュ)
500ml:1,980円(税込)
リフィル1000ml:3,080円(税込)
リフィル2000ml:4,895円(税込)
成分
竹炭灰抽出液・竹炭抽出液・純石けん(ココナッツ油・米油由来)
オーガニック精油(スイートオレンジ・ティートリー・ペパーミント)
弱アルカリ性
BAMBOO MINERALランドリーソープ(オーガニックフォレスト)
500ml:1,958円(税込)
リフィル1000ml:3,168円(税込)
リフィル2000ml:4,862円(税込)
用途:綿・毛・麻等の天然繊維・合成繊維用
成分
竹炭灰抽出液・竹炭抽出液・純石けん(ココナッツ油・米油由来)・
セスキ炭酸ソーダ(天然由来)・オーガニック 精油(ティートリー・ラベンダー)
弱アルカリ性
BAMBOO MINERAL ランドリーウォーター(無香料)
500ml:1,738円(税込)
リフィル 1000ml:2.838円(税込)
リフィル 2000ml:4,378円(税込)
綿・毛・麻等の天然繊維・合成繊維用
成分
竹炭灰抽出液・竹炭抽出液・セスキ炭酸ソーダ(天然由来)
弱アルカリ性
”石けん成分無配合”の泡立ちがない「ランドリーウォーター」は、すすぎ1回で十分。水資源の保全にもつながり、環境負荷を最小限に抑えた設計になっています。
じつは、ランドリーウォーターの前身となる「ランドリー&バスウォーター」(現在は終売)は、「つけ置き」が必須の洗剤でした。
しかし、ドラム式洗濯機の普及に伴い、「つけ置きが必要だと使いにくい」という声が寄せられるように。そこで、さらに改良を重ね、洗浄力を向上させ、つけ置き不要の「ランドリーウォーター」が誕生。石けん成分無配合でありながら、洗濯機を選ばない新しい洗剤が完成しました。
“ただの水”みたいに見える「ランドリーウォーター」には、ケイ素やマグネシウムなど、天然のミネラル成分がたっぷりと含まれているもの。ミネラルの力が汚れを落とし、洗い上がりはふんわり柔らかい。とくに、天然素材の衣類やおしゃれ着洗いに使ってみると、洗い上がりの良さを実感しました!
天然素材の大切な衣類に
日用品は「自分で選択できるモノ」。だからこそ、自分にも周りの人にも、優しいものを選んでほしいという横尾さん。これからも社会問題の解決につながる原材料の活用や新たなアイデアを通じて、新しい製品を開発し提案していくそう。
「石けんの配合は、必要最低限に留めるべきだと考えています。石けんに使用している天然油脂にも、熱帯林破壊の原因とされるパーム油を使用せず、環境に配慮した配合にしています」
「環境に寄り添う『美しい洗い方』が、私たちの当たり前の日常となるよう、ユーザーの皆さまと共に歩んでいきたい」という思いが、心に響きました。2018年から、量り売り洗剤の取り扱いも始まっています。
「LA LESSIVE AU BAMBOU」シリーズは、積み重ねた歴史の中で、少しずつ新しく、少しずつ使いやすく、改善を重ねています。さらに理想的な洗剤に近づくために、進化していくキッチンソープや洗剤を使い続けていきたいですね。
LA LESSIVE AU BAMBOU https://www.lalessive-aubambou.com/
一般社団法人OFJ オーガニックフォーラムジャパンの展示会
オーガニックフードEXPO 2025
会期:4月15日(火)~17日(木)
会場:東京ビッグサイト 東4~6ホール
オーガニックライフスタイルEXPO in 京都*
会期:5月23日(金)・24日(土)
会場:京都市勧業館 みやこメッセ 第2展示場
オーガニックライフスタイルEXPO in 東京*
会期:10月2日(木)~4日(土)
会場:東京都立産業貿易センター 浜松町館
*出展社募集中です
《関連キーワード》
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執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |
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