今年の「第5回オーガニックライフスタイルEXPO」は、5年目の開催という節目の年でもありました。主催の「一般社団法人オーガニックフォーラムジャパン」は、設立当初、最低10年間続けることを目標に掲げていたそう。展示会は、出展者数107社、132小間。公式来場者数、3日間合計で10,185名と成功裏に終わりました。
代表理事の秋元一宏(あきもと かずひろ)さんは、開催について「いよいよ過去最大規模という矢先、コロナ禍という事態で、9月開催を1ヶ月遅らせ、10月開催としたもののキャンセルが続出し、スポンサーも流れ、2020年の開催は難しいと判断せざるを得ない状況も多々ある中、奇跡と言えるぐらいタイミングが良かったと思います」と語っています。
新型コロナ感染予防対に万全を期し、変化した「第5回オーガニックライフスタイルEXPO」をレポートします。
基本に立ち返る「オーガニックライフスタイル」の提案
「第5回オーガニックライフスタイルEXPO」では、従来どおり有機農産物、オーガニック・ナチュラルビューティー、都市計画・農村活性化&里山保全などのブースが並びました。
変わっていく働き方と価値観。時間をかけてつくられたオーガニックの加工品や食品、華やかなコスメ、フェアトレード商品などなど。それらを見て、オーガニックの基本「安心と信頼と豊かさ」が求められていることを改めて実感しました。
33年前から有機米を栽培するタナカ農産グループ
オーガニックライフスタイルのベースとなる食とコスメをメインに、出展社さんの一部をご紹介します。
全国の地域から発信される美味しい食
愛媛にある「土と暮らす 株式会社維里(かぶしきがいしゃ いさと)」。自然栽培されたお米とシリアルなどの加工品が販売されていました。企業理念は、「農業をつうじて食と暮らしをととのえる」。自然環境の循環を感じさせる「土と暮らす」というブランド名が素敵です。
鹿児島で有機農業の振興の核となるモデルタウンを育成し、有機農業の面的拡大を図るべく活動している「有限会社 かごしま有機農業推進協議会」。パッケージも可愛くて、お母さんの手づくりのような「地球畑」のオーガニックベビーフードにとくに魅力を感じました。
帯広で設立された「北海道オーガニックビーフ振興協議会(通称HOBA)」のJAS有機畜産認証を取得したオーガニックビーフ。アニマルウェルフェアの認識が少しずつ高まっている中、一般のお客さまがたくさん集まっていました。
千葉県の「木更津市オーガニックシティプロジェクト推進協議会」で目を引いたのは、燻製業界では初となった有機JAS認定工場でつくられた「株式会社リオ」の燻製のオリーブオイルとお醤油。液体を直接燻製した自然な香りです。食材にかけるだけで燻製の風味が表現される画期的な商品。
いろいろな料理で試してみたいスパイス。本社が北海道の「株式会社N.HARVEST(エヌ・ハーベスト)」には、貴重な有機スパイスがたくさん揃っていました。生産者さんとの直接取引を大切にされているそう。
安全性と華やかさを併せ持つ「オーガニック・ナチュラルコスメ」
毎年人気のオーガニック・ナチュラルコスメゾーン。店舗数は少ないもののクオリティが高く、おしゃれ感のある楽しい空間でした。
「IMYOON(イ・ミューン)」のクレンジングバーは、肌に負担をかけずに、メイクをオフしてくれるクレンジング専用石鹸です。保湿をしっかりしてくれる成分の配合と、心まで明るくなるパッケージに、つくり手の心づかいが感じられます。
「ニロティカ」は、ウガンダ産のシアバターをベースにしたスキンケア商品。ステアリン酸やオレイン酸など、人の皮脂に近い組成を持つシアバターは、あらゆる保湿化粧品に配合されています。展示会では、お得な価格で販売されていました。
「たねのしずく研究所」の茶実油を原料にしてつくられたスキンケアブランド「SOL」。茶実油は、岐阜県をはじめ、国内各地の耕作放棄地茶園で収穫された茶実から採られているもの。SDGs目標の12(つくり責任つかう責任)と15(陸の豊かさを守る)に向けて取り組まれているそう。
「株式会社ロゴナジャパン」の大人の女性に人気のコスメブランド「ルアモ 」。「オールディ プロテクト UVパウダーヴェール」が販売されていました。できるかぎりオーガニック植物でつくられ、ブルーライト対策にも使えるので、リモートでパソコン仕事が増えてしまった女性にも良さそう。
生活を豊かにしてくれるささやかなもの
「ORGANIC STORY」のオーガニックストレート果汁100%ジュースは、ざくろ・りんご・ブルーベリー・ブラッドオレンジの4種類。ざくろを試してみましたが、酸味のバランスが良く、とても爽やかでリフレッシュできました。「毎日の暮らしに小さなストーリーを」というコンセプトにも惹かれます。
「アフリカンスクエアー」が販売するチョコレート「ショコラマダガスカル」。マダガスカルに住む人たちの生活と健康に配慮され、農薬などを使わずに栽培されたカカオが原料。チョコレートは、ロベール社によって現地で製造されています。「ビーントゥバー」と違い、ロベール社は完成品を輸出する「ツリートゥバー」。フェアトレードの先を行くレイズトレードです。マダガスカルの人たちへも経済的利益をもたらしているチョコレート。美味しくて健康的で、来年のバレンタインには必ずギフトに!
「神戸のクラフトビール醸造所」、「有機JAS認定農家」、「菓子製造会社」が取り組むプロジェクト「KOBE LOCAL BEER PROJECT」。目指しているのは、神戸産原料を100%使用したビールを醸造することで、「産業と都市と農地」の3つが共生すること。醸造後に出る、麦芽粕をアップサイクルしたグラノーラやクラッカーも販売されていました。
安心・安全な除菌消臭剤として注目されている「株式会社newlogic」の「シェリスタ」。産業廃棄物だったホタテの貝殻を再利用して独自の製法で加工された商品です。パウダータイプは、洗濯機に洗剤と一緒に入れたり、野菜や子どものおもちゃを洗ったり。スプレータイプで、車や部屋の臭い消しに使ったりと汎用性が高いもの。生活を快適にしてくれます。
「オーガニック」商品のストーリーには、社会的な側面を多く含んでいます。そんな背景を、生産者さんと直接対話しながら、リアルに知ることができます。ほんの一部しかご紹介できないことが残念になるほど、充実した内容の展示会でした。
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オーガニックライフスタイルON LINE EXPO
展示会場へご来場できないお客さま向けに、オンライン展示会システムとして2020年10月15日(木)~2021年4月14日(水)約6ヶ月間新たなビジネス商談の場として開催されています。
■主な出展者一部公開
株式会社Organic Style JAPAN/ビオプロジェクト/株式会社折玉/有限会社へちま産業/たねのしずく研究所/日仏貿易株式会社/株式会社セレンディピティ・トレーディング/ 株式会社維里/セラフィック株式会社/デンマーク大使館/イーオクト株式会社/株式会社オノウエ/キアラピュアフーズ/株式会社ストレイン
※20201020現在、まだまだ出展者受付中!
詳しくはこちら https://ofj.or.jp/online.html
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オーガニック, フェアトレード, 地方創生
執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |