【 五十嵐和恵の季節に合わせた暮らし方 Vol.16 】 2022.2.4~5.4春の養生

季節と季節を分けるから「節分」。博多の総鎮守である櫛田神社には、節分の前後日本一の大きな「お多福面」が。口をくぐり参拝すると商売繁盛や家内安全などの福を授かるといわれています。春到来! 気持ち新たに一年のスタートです。


1961年から毎年設置される高さ5.3m・横幅5mの大お多福面

 

ポジティブ介護

コラム4年目のテーマは「ポジティブ介護」。日本では「オーガニック=有機」のイメージですが、英語のorganicには「本質的な」や「生命の源」という意味合いがあります。親の介護をすることも、将来介護される必要のないよう今から準備することも、まさに「オーガニックな生き方」に通じると思います。

私事ですが、一昨年、同居する母が交通事故に。幸い骨折だけですみましたが、生活は一変。はじめは、現実を受け入れられず辛い日々でした。次第に、学びが多いことに気づき「ポジティブ・エイジング」を提唱する私は「ポジティブ介護」だ! と思えるようになりました。介護されている方の応援になれば、将来介護をする方の心の準備になれば、そして皆さま方ご自身の介護予防につながれば… そんな想いで、介護を通じて学んだことや日々感じることをお伝えしてゆきます。

 

季節を感じる暮らし

たとえ外出できなくても、ちょっとした小物で春を感じられます。

人間は本来、暑い時に汗をかき体温を下げたり、寒い時ブルっと身震いし熱をつくりだしたり、自然と体温調節ができる生きものです。ところが、空調管理された空間で、旬以外のものをいつでも食べることができるようになったので、季節に順応する体の機能が低下してしまいました。意識して季節を感じることは、私たちが持っている免疫システムを働かせることにもつながります。

寒くて暗い冬から暖かく明るい光に満ちた春へ。木々の枝は伸び葉が広がるように、春は心も体ものびやかに過ごす季節です。二年間も大きなストレス禍にいる私たち。自分が心地よくなることを取り入れ、気分をうきうきさせることが大切です。

昨春入院中だった母へ、桜の立体カードに「来年は一緒にお花見に行こうね!」と書いて送りました。高齢の母。あと何年一緒にお花見することができるだろうか? 一年一年の重みを感じます。たとえ外出ができなくても、家の中で季節を楽しむことはできます。

 

春を感じるデザート

春になると童謡「チューリップ」の歌が思い浮かびます。
♪赤・白・黄色♪のデザート。白きくらげのひらひらはスイートピーを思わせます。

春は充血や目のかゆみなど目に不調が出やすい季節。クコの実は目のトラブルに効果的です。金柑のさわやかな香りは「気」を巡らせます。白きくらげとはちみつは呼吸器系を潤す働きがあり、花粉症が気になる春にもおすすめです。

 【作り方】
<材料>(2皿分)       
・クコの実       適量
・金柑       2コ
・白きくらげ(乾燥約5g
・白ワイン     少々
・はちみつ     大さじ2

<作り方>
①白きくらげは水で戻し石づきをとり、食べやすい大きさに切って弱火で約20分茹でる。
②金柑はヘタをとり、竹串で数か所穴を開けて(破裂防止)約5分中火で茹でる。
③②を切って種をとる。
④クコの実は白ワインで戻しておく。
⑤①、③、④を器に盛り付け、はちみつをかけてできあがり。時間をおくとはちみつがなじんでおいしい。

 

少しでも早く元気になってもらいたい。母の介護がはじまり、疲れていてもそれまで以上に食生活を大事にするようになりました。「人は『誰かのため』があることで、よりがんばることができる。『母のため』にしていることは、なにより『自分のため』になっている」、そんなことに改めて気づきました。

食事をつくり食べさせる、歩くサポートをする、お風呂に入れる…。私が産まれ自分ではなにもできなかったとき、母にしてもらったことをしてあげているだけ。そんな繰り返す母娘の営みは、自然の営みに寄り添う「オーガニックな暮らし」だと感じます。

※春の養生については「五十嵐和恵の季節に合わせた暮らし方Vol.1511」を併せてお読みください。

 

ポジティブ・エイジング アドバイザー、健康管理士一般指導員、食育インストラクター。福岡市出身。時間とともになんとなく年をとるのではなく、加齢に対して前向きに準備をしながら素敵な年齢を積み重ねてゆく=「ポジティブ・エイジング」を提唱。東洋医学のある暮らしでうつ病や難病も克服。お子さんからシニアまで幅広い世代の方に、セミナーや講演会を開催。福岡県立高等学校食育出前講座、西南学院大学市民講座などの講師を務める。

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