大好きなレモンを栽培したい！耕作放棄地の開墾から始めた「AKEMILEMON」の妥協しないものづくり

2025/02/26

農業の高齢化や担い手不足は全国的な課題のひとつ。農山漁村発イノベーションが推進され、農業を成長産業にする取り組みも進められています（参考：農林水産省「農山漁村発イノベーション対策」）。熱意と信念を持つ人たちによって、新しい六次化商品も生まれています。

これからの農業に希望を与えてくれそうなトピックを探してみると、生でも食べられて、いろいろな料理に使え、飲み物にも合う“レモンブーム”が加速しているという情報がありました。

当編集部でも2回目の“国産レモン”。レモンは品種も多く、実際に育てている人が増えているそう（参考：現代農業WEB版「集まれレモン部！」）。

身近になってきた国産レモンを使った加工品で、イギリス発祥の「レモンカード」をつくっている「株式会社アケミ檸檬」のスイーツブランド「AKEMILEMON（アケミレモン）」を見つけました！　レモンカードは、アフタヌーンティーだけでなく、いろいろな料理に使えるところが魅力。

広島県尾道市の生口島

瀬戸内海に面した県で栽培されているのが瀬戸内レモンですが、中でも、しまなみ海道が通る広島県尾道市瀬戸田町生口島（いくちじま）で栽培される「瀬戸田レモン」は、国産レモンのトップブランドとして知名度が上がっています。

「AKEMILEMON」では、自然栽培や農薬・化学肥料不使用で栽培した「瀬戸田レモン」を使い、完全無添加のレモンカードやレモンジャムを。そして、できる限り添加物を使わずにレモンケーキ※をつくっています。
※第一リン酸カルシウム、アルミニュウム不使用のオーガニックべキングパウダー、「グルテンフリーショコラレモンケーキ」に使用しているチョコレートには香料に植物由来のバニラ、大豆由来の乳化剤を含みます。

瀬戸田レモンは、外国産レモンに比べて皮が薄く、果肉と果汁がたっぷり。「AKEMILEMON」の加工品は、瀬戸田レモンの魅力を存分に生かし、美味しさをそのまま詰め込んでいるもの。

生口島のレモンの美味しさを届けたい

商品製造中のAKEMIさん
レモン農家見習い／開業コンサルタント／出版プロデューサー
宝石商を夢見て宝石鑑定士の資格を取得。Tiffany & Co.入社。
16年在籍して退社後に体調を崩したことがきっかけで、
食と健康に興味を抱き、おむすび屋を起業。東京での暮らしに見切りをつけ、
鎌倉へ移住して2018年にオーガニックレストランを開業。
2020年コロナ禍に、根本にある「農」の面白さに目覚め、レストランを閉店し、
子供の頃から大好きだったレモン農家になるべく、瀬戸内海の島に移住して修行中。
2021年に「AKEMILEMON」を創業。
著書に「じぶんブランドの作り方」「レモンを丸ごと食べるレシピ」しまなみ出版がある。

商品をつくっているのは、レモン農家見習いをしながら開業コンサルタントや出版プロデューサーを手がけるAKEMIさん。

生口島でも増えていく耕作放棄地。それを「そのままにしておくのは、決して良くない。山と里、人と動物、それぞれが共存していくために手入れするのが人の役目」だと考え、開墾をスタート。いずれは、自社栽培レモンでの商品づくりが目標だそう。

耕作放棄地の開墾も楽しい

一つひとつレモンを洗い、皮を削り果汁を絞り薄皮をスプーンで取り分けて、丁寧に苦みを取り除く。そんな工程のすべてを手作業で行っています。製品には、保存料、味を調整する添加物など、化学的なものを一切使っていません。

自分自身が「また食べたい」と思うことを大切に、美味しさを最優先でつくっているそう。「質の良い食べ物を摂ること」こそが、強い身体をつくり自分と大切な人を守ってくれるはずだ、という強い思いがあります。

LEMON CURD PREMIUM レモンカード／プレミアム
90g：2,640円（税込）、60g 1,880円（税込）
原材料
キビ糖（喜界島）、国産グラスフェッドバター、尾道の平飼い卵、レモン
※レモンカードはプレミアムとお手頃なデイリーズの2種
　使っているバターが違います

筆者は「レモンカード／デイリーズ」を購入してみました。爽やかなレモンの酸味と甘味、バターの風味が絶妙のバランスです。何度も食べたくなる美味しさ！

動物性タンパク質を使用せず、有機ココナッツと有機豆乳でつくられた、ふんわり食感のヴィーガン仕様の「レモンクリーム」も開業当初からラインナップ。

スイーツづくりに大活躍

ホームページには、パンやスコーン、ヨーグルトにのせるだけでなく、思わずつくりたくなるアレンジ料理のレシピが紹介されています。

中身を選べる！レモンケーキ6個入り：2,100円（税込）
原材料
バター（よつ葉乳業）、キビ糖（喜界島）、平飼い卵、小麦粉（国産）、
サワークリーム（クリーム（国内製造）、牛乳、乳たんぱく）、
ドライフルーツ（レモン、キビ糖）、有機米水飴（国産有機米、有機大麦麦芽）、
レモン外皮、塩/オーガニックベーキングパウダー、
（一部に乳成分、鶏卵、小麦を含む）
※グルテンフリーショコラケーキと選べます

レモンケーキの生地に練り込む自家製のレモンピールは、皮の香りを活かすために火入れをせず、丁寧に種を取り除いて一週間漬け込んだもの。たっぷりとバターを使用しているので、パサつきのない「超しっとりぜいたくレモンケーキ」というネーミングに。

一般的なスイーツやレモンカードでは、砂糖やバターをたくさん使います。もちろん食べすぎは禁物ですが、素材にこだわった「AKEMILEMON」ではキビ糖が使われているので、優しい甘さを感じます。

病気になりにくい、強い心と体になるために、美味しく味わい、ささやかな幸せを感じる。

「レモンを育てることは、島の土地を守り、食卓に幸せを届ける一環」だと言うAKEMIさんの目指す未来は、健康と島の環境を良くしていくこと。人と自然環境は、ひとつながりであることを思いました。

AKEMILEMON https://www.akemilemon.com/

企業情報

	執筆者：奥田景子ライター（エシカルファッション、フェアトレ－ドなど）。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。２０１３年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。