環境問題や社会課題への対応において、地域の取り組みが基礎となることを意味する「Think globally, act locally.」。
環境には国境もなく、地域の環境負荷は地球全体に広がります。地域の環境は相互に依存しあっているため、地球環境が悪化すると地域の環境にも変化を及ぼすことになるからです(参考:環境白書)。
また、「Think locally, Act globally.(地域で考え、地球規模で行動する)」も大切。
2018年12月に、東京都市圏への一極集中を抑制し、地方全体の活性化を狙いとした82の「中枢中核都市」が選定されました。「中枢中核都市」は、活力ある地域社会を維持するために自立した中心・拠点であることが求められます。人口10万人未満の市で唯一指定を受けているのが富山県射水市です。
射水市に「地域資源循環事業本部」を置く「北陸ポートサービス株式会社」は、「地元に根付いた企業が、地元の材料を使って、地元でつくり、地元のお店が売って、地元の方が使う」という「地域資源循環」に取り組んでいます。
「土づくり」を行い地域社会・経済の未来へ希望をつなぐ
有機農業・食事業から防災まで展開
北陸ポートサービスが実践する循環型地域社会
「北陸ポートサービス」は、その名のとおり、もとは港湾内の船舶清掃業にはじまり、創業時から続く「港湾運送関連事業」と「地域資源循環事業」により発展してきたそう。
現在、北陸ポートサービスで注力されているのは「土づくり」。木材を堆肥にする「土づくり」の事業を起点に、地域社会が抱える課題の解決や新たな価値の創造が考えられています。そのヴィジョンは、「良樹細根・大樹深根」。地域にとって良い樹木、大きな樹木となるため土台となる「土づくり」を行なうことで地域貢献へ。
まず、農業への取り組み。堆肥を活用した有機栽培などの活動を通じて、従来の農業に環境価値を与え、ヒトや地域を巻き込んだ資源循環を推進しています。
解体材、剪定枝、伐採木などの木質系廃棄物や、飲料メーカーから出る茶カスなど植物性残渣を約20,000 t受け入れています。そのうち富山県内からの持ち込み量は99%だとか。
廃棄される枝葉をリサイクルして精選・熟成。オリジナル堆肥へ
木質系廃棄物受入量のうち、12,272 tを燃料チップとして製紙会社や発電会社などに納入。5,781 tを堆肥として出荷し、法面緑化、田畑、造園、果樹園、家庭園芸などに使用。
グループ企業「グリーンエネルギー北陸」では、2015年からチップを燃料とするバイオマス発電設備を稼働。不要山林を買取り、間伐し森林を保全。その間伐材はバイオマス発電の燃料として再生可能エネルギーに変換することで地域内での活用・カーボンニュートラルにも積極的に取り組んでいます。
発電した総電力量5,750kWのうち、社内電力として利用する800kWを差し引いた4,950kWをすべて売電し、北陸電力より、地域の企業、工場、商業施設の他、学校、病院、福祉施設などにも供給されています。
バイオマス発電設備
他には、北陸ポートサービスの「食」の事業「8ablish Toyama」など、土から農業・食・地域コミュニティの創生にも努めています。さらに港湾運送・流通で培ったノウハウを生かし、富山福祉短期大学で学ぶ看護・福祉分野の人材、国際医療支援NGO「ジャパンハー」トと連携し、災害時における被災者支援の拠点も構築。2006年からは、射水市内の小学校で環境教育の一環としてバイオマス教育と食育をサポート。
2016年から、射水市内の幼稚園・保育園全29園、2,332セットの堆肥が入った培養土とチューリップの栽培セットを寄贈。昨年12月23日には、大江保育園の園児と共に植え込みが実施されました。
チューリップの栽培セットで植え込みの様子
北陸ポートサービスが提供する自社製の土は、地域バイオマス(刈草、剪定枝葉、伐採木)を破砕し、精選・熟成させて仕上げた商品。「グリーンエネルギー北陸」の木質バイオマス発電所の環境価値を購入することで、地球温暖化防止対策にもなります。
廃棄物を焼却する場合と比べると、温室効果ガスの排出量を半分以下に削減。培養土としても自然由来の原料で仕上げているため、土に還る地球環境に優しい商品です。
新商品「プランターの土」:1,600円(税込)
定植用の培養土:容量:14L / 袋
原料:オリジナル堆肥・サハリンピートモス・赤玉土・もみ殻灰・肥料
3袋以上で送料無料(1袋あたりの送料1,000円)
※九州、沖縄、北海道は別途送料お見積りになります
50袋セット 10%OFF、100袋セット 20%OFF
代表取締役の加治幸大(かじ ゆきひろ)さんは、「自然との共存を軸にクリエイティブな体験を提供するエンターテインメント拠点の開発など地域創生事業に挑戦しています。子供たちが健やかに成長できるような、『このまちが好き』、『このまちにずっといたい』と誇れるようなまちづくりを目指して邁進している」といいます。
「地元の産業活動から発生する副産物を資源に土に還す」。そんな地域を地盤とした循環型社会・経済を構築するまちづくりを素晴らしいと感じました。
北陸ポートサービス株式会社 https://h-port-s.com/
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執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |