人も動物も環境も健康であるために。北海道「十勝広尾 鈴木牧場」が実現させた地域循環型酪農

北海道十勝地方にある「十勝広尾 鈴木牧場」は、日本で初めて、生乳と牛肉、鶏卵のJASオーガニックの認証を取得した牧場。

オーガニックグラスフェッドビーフについて、需要はありながら日本での流通は難しいとも言われています。それでも、今後は健康面でも環境面でも、またアニマルウェルフェアの視点からも注目されているグラスフェッドビーフの生産拡大は予想されています。

一方農業では、生産性を上げるために、化学肥料や農薬が使われてきました。環境負荷の大きさが課題となっている現在、農業のもつ自然循環機能の維持増進や持続的な生産活動の推進をはかる、環境保全型農業の取組が推進されています(参考:農林水産省「環境保全型農業の推進」)。

一つ一つの困難を乗り越えるように循環型畜産・酪農に取り組んできた「十勝広尾 鈴木牧場」をご紹介します。


動物の健康を考えることで循環型環境保全酪農へ

有機JAS認証を取得した畜産物

「十勝広尾 鈴木牧場」は、代表者の鈴木敏文(すずき としふみ)さんご夫妻とお母様の3名と酪農実習生1名で営まれています。現在の飼育頭数は120頭。内訳は経産牛が60頭、未経産牛49頭、肉用牛11頭、そして鶏卵(有精卵)生産が行われています。

 循環型酪農・農業へ転換のきっかけとなったのは、平成20年と平成22年、2度にわたって起こった家畜伝染病「牛サルモネラ感染症」だったそう。抗生剤の投与や保菌牛の淘汰など終息まで5カ月を要しました。経済的にも精神的にもつらい状況だったことは容易に想像できます。

ストレスなくのんびりと放牧

獣医師でもある奥様のなつきさんの「予防は最大の治療」という見識によって、新たな1歩を踏み出すことに。牛の健康管理を第一に考え、完熟させた発酵堆肥を基肥にして、化学肥料や農薬を使用せず栽培された牧草を牛に与えています。平成27年から、同じ町内の広尾漁協うに種苗センターから海水を入手し、飼料としての塩づくりも開始されました。ミネラル豊富な「十勝の塩」は自社ショッピングサイトでも販売されています。

十勝の塩 1kg:10,000円(税込)/50g:800円(税込)

健康な牛から美味しい牛乳が生まれます。良質な粗飼料生産、乳牛の快適性などの改善が行われました。有機酪農によって飼養頭数・1頭当あたり乳量は減少したものの、放牧などで労働力は削減されたそうです。また、健康な牛の排泄物は水質汚濁もなく、優良な有機肥料となり地域で循環しています。

 令和2年には牧草・デントコーンの飼料と農産物のキクイモ、令和3年には生乳・牛肉・鶏卵の畜産物で、有機JAS認証を取得。有機酪農・農業を実践したことで、乳質が向上し、ゆとりある牧場経営も実現しました。平成26年には、「全国青年農業者会議 農林水産大臣賞」を受賞、令和3年には「サステナアワード2020 実践賞」も受賞。

グラスフェッドハンバーグ 150g 2個:2,400円(税込)

「十勝広尾 鈴木牧場」の経営理念は、「太陽、土、水などの自然の恩恵をたっぷり受けた健康的な牛を育てる。そして、本来子牛が飲む生乳を『おすそわけ』してもらい、多くの方においしい牛乳を飲んでいただく。牧場という食の現場から、命をつなぐ食べ物を生産し、皆様に『しあわせ』をお届けする」こと。

 アニマルウェルフェアの実践は、人も環境も幸せにしてくれるもの。草食動物の牛に穀物を与えるのも不自然なことです。命あるものを犠牲にして生きなければならない自然の摂理と苦労を重ねてきた農家さん達。毎日の食に感謝が必要な理由もわかりました。

 

 十勝広尾 鈴木牧場 https://www.hiroo-suzukifarm.com/

 

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執筆者:奥田 景子

ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。

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