毎年のように起こる、台風や大雨による大規模な災害。それらは、私たちの生活に大きなインパクトを与えています。世界的に進行している気候変動は、温暖化の影響が大きいと考えられるため、日本でも各自治体や企業の脱炭素化に向けた取り組みが広がっています。
「2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロ」を目指す自治体は増加傾向です。東京都、宮城県、岩手県、神奈川県などの12の都県と、横浜市、豊田市、京都市など19の市町村が「ゼロカーボンシティ」を表明していました。そこへ、昨年12月25日、鹿児島市が「ゼロカーボンシティかごしま」へ挑戦! として新たに表明。九州では、熊本県に次ぐものの、市としての宣言は九州初となりました。
きっかけとなった2019年の豪雨災害
森鹿児島市長定例記者会見の様子
鹿児島市では、昨年の12月の市長定例記者会見において、平成5年の8・6水害以来となる6月末からの記録的大雨に見舞われたほか、日本各地でも経験したことのない甚大な被害が発生しており、こうした被害から人々の生命と財産、社会インフラ、そして、自然や生態系を守るには、根本的な解決策として、地球の平均気温上昇を1.5度に抑える必要があり、そのためには、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることが求められていること。
また、先般のCOP25でも次代を担う若者世代から早急な対応を求める声が一段と高まっていることなどを挙げ、将来世代に健康な地球を残すためにも、鹿児島市は、国際社会の一員として、脱炭素社会の実現を目指し、2050年までに本市の二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティかごしま」の実現に、市民や事業者等と一体になって取り組むことを決意します、と宣言されました。
(「ゼロカーボンシティかごしま」宣言文)
地域を生かしたゼロカーボンの取り組み
各地域では、森林整備や再生可能エネルギーの強化、エネルギーの地域循環など、その地の資源や特徴を生かした取り組みや都市との連携協定などが見られます。(参考:環境省「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロに向けた取り組み等」)
太陽光発電システム(観光農業公園)
鹿児島市の取り組みは、南国鹿児島ならではのもの。それは、太陽の恵みを生かした、地産地消の再生可能エネルギーです。太陽光発電システムなどの設置の助成や、公共施設への再生可能エネルギーの率先導入など。一般廃棄物を活用した再生可能エネルギーの創エネのため、ごみ焼却施設・バイオガス施設の新南部清掃工場の整備を進めています。また、エコスタイルへの転換と観光に、自転車と公共交通による移動への転換を図るコミュニティサイクル「かごりん」の利用が推進されています。(鹿児島市コミュニティサイクル「かごりん」)
持続可能なまちづくりのひとつとしても、注目される「ゼロカーボンシティ」宣言。それぞれの地域で、さまざまなアイデアで、取り組みが多様化していきそうです。私たちの生活と未来、自然環境を守っていくために、家庭では何ができるのか考えていきたいと感じました。
執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |