長崎県佐世保市を拠点に、日本各地で化学肥料・農薬不使用で栽培する農業や微生物の重要性を伝える人がいます。「農業法人 菌ちゃんふぁーむ」の代表取締役・菌ちゃん先生こと吉田俊道(よしだ としみち)さん。菌ちゃん先生は、コロナ禍にあっても、オーガニック給食の推進や細菌、ウイルスについて、たくさんの情報発信を行っています。
お腹の中と土の中は同じと語る菌ちゃん先生のお話から、本当に大切なことが見えてきます。菌ちゃん先生のお話と、栽培方法や自社開発商品の「菌ちゃんげんきっこ」をご紹介します。
吉田俊道氏
NPO大地といのちの会理事長。(株)菌ちゃんふぁーむ代表取締役。1959年、長崎市生まれ。九州大学農学部大学院修士課程修了後、長崎県庁の農業改良普及員に。1996年、県庁を退職し、有機農家として新規参入。1999年、佐世保市を拠点に「大地といのちの会」を結成し、九州を拠点に生ごみリサイクル元気野菜づくりと元気人間づくりの旋風を巻き起こしている。2007年、同会が総務大臣表彰(地域振興部門)を受賞。2009年、食育推進ボランティア表彰(内閣府特命担当大臣表彰)
菌と共存する農業とライフスタイルへ
ところで、SDGsの目標2「飢餓をゼロに」のターゲット4には、「2030年までに食料の生産性と生産量を増やし、気候変動や干ばつ、洪水などの災害に強く、土壌を豊かにしていくような、持続可能な食料生産の仕組みをつくり、何か起きてもすぐに回復できるような農業を行なう」とあります。世界全体はつながっています。飢餓は途上国の貧困問題だけでなく、日本に住む私たちの農業を変え、生活を変えることでも改善していくと考えられるのでは。
微生物による元気な野菜を育てる実践研修会
菌ちゃん先生のお話を聞くことで、細菌を身近なものと感じ、親しみやすく感謝の思いまで湧いてきます。土と私たちの体内、とくに腸内環境は類似性があると言われているそう。悪い菌も必要な存在だと分かれば、恐怖感が消え安心感へと変化しました。
病原菌にもなりやすいため、有機農業では避けられていたという分解力が強い糸状菌を使った土づくり。森の中のような環境をつくり、菌にとって最適な環境づくりをしていきます。抗酸化作用が期待できる栄養素を豊富に含む野菜が育ちます。
コンポスト。乳酸菌によって生ごみの漬物が完成
菌ちゃんふぁーむには、栄養たっぷりの生ごみを使った「生ごみ漬物」と呼ばれるコンポストがあります。1か月ほど経ってから、乳酸菌の香りが漂ってきます。生ごみ漬物のつくり方は、動画でも紹介されています。プランター栽培にも使えるので、家庭でも試してみたい! 有機農業は排出権取引の対象にもなっていくそう。
便秘の解消などいろいろな効果が報告されています
菌ちゃんげんきっこ 4種類セット:2,460円(税込)
体調がすぐれない人に試してほしいのが、「菌ちゃんげんきっこ」という微量栄養素含むふりかけ。現代人の多くは、生命に重要な微量栄養素が不足しています。その理由は、環境や私たちのライフスタイル、価値観にあります。見た目がきれいで形もそろった工業品のような野菜ではなく、皮ごと食べることができる化学肥料・農薬不使用の野菜を選ぶ、添加物を含まない調味料を選ぶなど行動を変えていく必要があるのでは。
2021年には化学肥料や農薬を使用せず、自然の能力を活かし自然と調和する農業を推進する「みどりの食料システム戦略」も策定されました。
菌ちゃん先生の講演会は、全国で開催されています。お話には、深い学びと生活のすべてが菌と共にあるという気づきがあります。
吉田俊道氏 講演詳細 https://kinchan.ocnk.net/page/3
農業法人菌ちゃんふぁーむ ネットショップ http://kinchan.ocnk.net/
NPO法人大地といのちの会 http://daititoinotinokai.web.fc2.com/
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執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |