自分で育てた野菜はスーパーマーケットに並んでいるものより特別に感じます。芽を出し、花を咲かせ、実がなり収穫するプロセス。時間と手間暇をかけた分だけ愛情を感じます。
ストレスではなく愛情をかけて育てられた「食べ物」と「人」の関係は、幸せの交換をしているように感じます。
「自産自消のできる社会をつくる」を理念に掲げる農業ソーシャルベンチャー「株式会社マイファーム」。『体験農園マイファーム』を、2024年の秋の菜園シーズンより、自己実現をサポートする新コンセプト『農×私らしさ』を打ち出してリブランディング。
貸し農園で表現する『私らしさ=自己実現』とは、どういったものでしょうか。
未来を育む「グリーン未来活動」を通じた自己実現
ウェブサイトもリニューアル
都市住民が自然に親しむために家庭菜園を楽しんだり、シニア世代の健康・生きがいを創出したり、子どもの食育・農育につながる場として始まったのが「都市農園」。
2010年頃からはオーガニック栽培での家庭菜園需要や行政との差別化を図る目的で、道具・資材・助言サポートが付属した貸し農園が農家・民間主導により誕生。2007年創業のマイファームは、日本全国で貸し農園事業を展開してきたリーディングカンパニーです。
マイファームが実施した顧客調査によると、年々貸し農園の利用者から『野菜づくりを楽しむ』だけでなく、『野菜づくりを通じて自己実現を図りたい』という声が高まっていったと言います。
そんなニーズに応えるために、貸し農園のバージョンアップが考えられました。
次世代型貸し農園では、つくった野菜の収穫と調理を楽しむ「味わう」、畑に来ることでの運動習慣やリフレッシできる「健やかになる」、農業や環境問題について「学ぶ」、コミュニティや家族との時間を過ごす「繋がる」、自然の中でリラックスする「くつろぐ」と、5つに分類されました。
5つそれぞれの「とっておきの野菜づくり」を実現できるサービスが提供されます。
さらに自己実現につながる「私らしさ」を深めていくと、「都市の中の自然」がキーワードの共通点として浮かび上がってきたそう。
そこから始まった『グリーン未来活動』は、都市の中で自然との調和を目指す新しい取り組み。
マイファームの貸し農園事業担当の原岡さんは『グリーン未来活動』について、「この活動は、生物多様性の保護、環境循環の促進、防災対策、そして地域コミュニティの活性化を目的としています。とくに、防災対策として、都市農地を一時避難場所として活用する取り組みは、災害時における地域支援の新しいモデルとして都市農地の価値を再認識されると考えています」と語っています。
都市の中の小さな自然が多くの機能を果たします
具体的には、体験農園内でのビオトープ100ヶ所設置を目標とし、都市の中で生物多様性を維持し、次世代につなぐ場にすること。宇宙での農業を見据えて開発された「高機能バイオ炭(宙炭)」などを活用しながらCO2削減を含めたグリーンな自産自消を推進すること。
そして、自然災害の多い日本の中で、都市農地としての貸し農園を、一時避難場所や地域支援拠点として活用できる整備を進めること。小さな子ども連れからアクティブシニアまで、さまざまな年代の方が利用する貸し農園で、さらなる交流ができる「開かれた場所」として地域に根ざした楽しい活動を行っていくことを目指しています。
「マイファーム」では、いまの農業と社会にある課題の大きな要因には、「私たち、食べる人、一人ひとりの食への意識が下がってしまったことにあるのではないか」と考えられています。それは、人の五感や六感の低下にもつながっているのではと感じます。農という自然と触れることは、自分らしさを見つける機会になるかもしれません。さらに防災対策としての都市農地の整備に注目が集まりそうです。
体験農園マイファーム(https://myfarmer.jp/)
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執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |