絵本をとおして知る密猟問題。グローバルな課題を身近に感じて解決策を探る『きこえないこえ』

小学校教育でも取り入られている「SDGs」。目標が大きくてわかりづらいとも指摘されています。そのため、企業や自治体の取り組みに実態がともなっていないこともあるかもしれません。

 個人がひとつの目標をより身近に感じることも大切なのでは。シンプルな言葉や色彩で本質に触れることもできるのが「絵本」です。

「株式会社佼成出版社」から発刊された絵本、『きこえないこえ』(内田麟太郎・作/竹上妙・絵)は、今も続く密猟問題を訴えるゾウの声に耳を傾けるというもの。

WWFジャパンによると、ゾウは「地球上で最も多く、密猟の犠牲になっている哺乳類の1種だとか。1年間に密猟されるアフリカゾウの数はおおよそ2万頭。密猟の目的は、高値で取引される「象牙」です。日本でも印鑑やアクセサリーなどに使われ、現在合法的に国内取引が行われています。

絵本からもたらされる想像力や感性によって、遠い地の物語が自分の傍の出来事のように感じられそう。

人には聞こえない神秘的な動物の声を描いた意欲作

作:内田麟太郎さん
1941年、福岡県大牟田市生まれ。詩人、絵詞作家。
『さかさまライオン』(童心社)で絵本にっぽん賞、
『うそつきのつき』(文溪堂)で小学館児童出版文化賞、
『くじらさんのーたーめならえんやこーら』(鈴木出版)で
日本絵本賞を受賞。
その他の作品に「おれたち、ともだち!」シリーズ(偕成社)、
空よ!』(アリス館)、『うみべのいす』『たまたまタヌキ』
(佼成出版社)など多数。

作者の内田麟太郎(うちだ りんたろう)さんの作品には、動物が主人公の絵本がたくさんあります。

今作『きこえないこえ」』 のあらすじは、「人には聞こえない超低周波を使って会話をすることができるといわれている、ゾウとクジラ。群れの中で最後の一頭になってしまったアフリカゾウは、はるか沖にいる友だちのクジラにむかって、静かに語り出した……。愛する仲間たちをつぎつぎと見送り、いまは独りになってしまったゾウがクジラに伝えたのは、象牙を目的に、人間に乱獲された悲しい過去だった――」。


表紙
きこえないこえ
定価: 1,540円(税込)
体裁: A4変型判/32ページ
ISBNコード: 978-4-333-02914-3
URL: https://books.kosei-shuppan.co.jp/book/b639183.html

人には聞こえない言葉でコミュニケーションを取る、密猟のため最後の一頭となってしまったゾウと友達のクジラの物語。どんな会話が交わされるのでしょうか。

イラストは、「動物や昆虫をおもなモチーフとした作品を発表している画家・竹上妙(たけがみ たえ)さんが、迫力ある美しい筆致で新しい画法を取り入れながら」描いています。

絵:竹上妙(たけがみ たえ) さん
1986年、東京都生まれ。版画家、画家。
和光大学表現学部芸術学科卒業。

「見たら見られた」をテーマに、
動物や昆虫をおもなモチーフとした作品を発表している。
絵本に『マンボウひまな日』(絵本館)、『きょうは泣き虫』(好学社)、
『うみのあじ』『わたしは かわいい マヌルネコ』(あかね書房)、
『みたらみられた』(アリス館)、
『だんだん だんだん』(ひさかたチャイルド)など多数。

日本で合法に取引されている象牙が違法に中国へ輸出されたり、インターネットで取引されている現状も報告されています。密猟は「貧困」「不平等」「経済成長」「平和」、そして、消費国の「つかう責任」というSDGsの目標に通じています。

また、クジラがだまってゾウの話を聞きつづける様子から、「傾聴」という言葉も浮かびました。子どもも大人も想像力が高まり、相手のことや動物のこと、地球のことまで自分のことのように感じられる『きこえないこえ』です。

 

企業情報(株式会社佼成出版社)

 

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執筆者:奥田 景子

ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。

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