「ローカルの働き方改革~大分編~」レポート。一人ひとりの働き方を変える「ワーク・イン・ライフ」の実践

2018年に公布され、順次施行されている「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(以下、「働き方改革関連法と表記」)。

 慢性化していた長時間労働や、地域の課題となっている少子高齢化などを背景に「働き方改革関連法」は推進されています。

 さらに働き方の価値観も多様化しています。Uターン、Iターン、Jターン、リモートワークやワーケーションなど、都会ではなく自然豊かな場所で働きたいというニーズも増加。

 理想とされるは、仕事と生活との健康的な調和。生活の要素のひとつに仕事があるという、主体的で多様な働き方を可能にする「ワーク・イン・ライフ」という考え方が注目されています。

 83日に福岡県で開催された、人と地域のワーク・イン・ライフを提案する「ローカルの履歴書~大分編~」に参加しました。新たな価値観を示していくイベントをレポートします。

カルチャーがある地。心を健康にする地域の豊かさが魅力

右)主催者の株式会社コーシェリジャパン代表取締役CEO 織井敬太郎氏
フレンドリーな雰囲気でスタートしました

主催社は、ウェルネスなライフスタイルを提案する「株式会社コーシェリジャパン」。

 「株式会社コーシェリジャパン」代表取締役CEOの織井さんが会社を設立したのは、「仕事が心の健康を崩してしまう、そんな状況を解決したい」という思いから。とくに、「KOSelig JAPAN」は心の健康を当たり前にしていきたい、ライフスタイルに変革をもたらしたいと立ち上げられたブランドです。

 また、大分県の「大分労働局」によると、労働力人口が減少していく一方で、女性や高齢者を含むすべての労働者が働きやすく、活躍しやすい環境をつくることが重要な課題となっていると報告されています。

コミュニケーションをとりやすい雰囲気に

出展社と参加者のアイスブレイクが行われた後、「大分の魅力」と「大分で働く魅力」についてディスカッションが始まりました。

 仕事は充実した暮らしには欠かせないもの。そこで、まず大分の暮らしが議論されました。

 自然豊かな大分県は、住みやすくて、人が温かくて優しい、食べ物が美味しいなど。また、大分県は温泉県として知られています。大きな魅力は、「オンもオフも切り替える必要性すら感じないくらい、仕事と暮らしを楽しんでいける」ところだとか。

さらに大分県では、カルチャーイベントや世界的な音楽イベントも多く開催されています。それぞれの会社も影響を受け、豊かな企業文化が根付いているように感じます。

地域の課題が見えやすいので、ビジネスチャンスが身近にあるという意見もありました。

それぞれの会社、それぞれの仕事

イベントに出展した4社は、いずれもユニーク。「地域の良い面を活かした働き方」や「ワーク・イン・ライフ」の可能性を感じます。

ローカルキャリアと大きな挑戦を可能にする
株式会社BORNREX Waku Waku OITA

右)株式会社BORNREX Waku Waku OITA
新規事業部マネージャー 橋本魁(はしもと かい)さん
左)株式会社BORNREX Waku Waku OITA
新規事業部 目谷真之助(めたに しんのすけ)さん

「株式会社BORNREX」のキーワードは、「湧く湧く(WakuWaku)」。大分の地域性と、ワクワクする気持ちを感じます。挑戦する人が挑戦者であり続けられる社会をつくり、自分たちも共に挑戦していく! 「うちから湧き上がるエネルギーが世界を動かしていくのでは」と、新規事業部マネージャーの橋本魁(はしもと かい)さんは語ります。

 新しい事業をローカルから生み出し、そのエネルギーを連鎖させていく。地域課題をビジネスで解決していく。そんなパワフルなスタートアップ企業。本社は東京ですが、創業2年目の大分支社では、プロフェッショナルに働けるコアメンバーを募集しています。

インバウンドに対応する新たなサービス
Lost Item Delivery株式会社

右)Lost Item Delivery株式会社
代表取締役 吉永陽介(よしなが ようすけ)さん
左)Lost Item Delivery株式会社
営業マネージャー 赤星暢一(あかぼし しんいち)さん

大分放送によると20243月に大分県を訪れた海外観光客は、およそ495000人と過去最多。じつは訪日外国人の忘れ物が、宿泊施設の業務を圧迫しています。

 Lost Item Delivery株式会社」は、宿泊施設の代行として、海外へ荷物を届けています。鉄道や航空会社とも連携し、時には刑事ドラマさながらの捜査で、忘れ物を探したり受け取ったり。観光客にとって大切な忘れ物が届いた時の喜びはひとしお。海外からたくさん届く感謝の言葉は、仕事の原動力につながります。会社のビジョンには、「宿泊施設・ゲスト・地域を忘れ物で繋げ、買い手よし売り手よし世間よしの三方良しとする。日本の地域文化と楽しみ方を世界にシェアし、地域経済が潤うものとする」と、あります。

地域課題とサステナビリティにアプローチする
ティールファシリティーズ株式会社

ティールファシリティーズ株式会社
代表取締役社長 原田正和(はらだ まさかず)さん

人々の生活のためにも、社会の持続的発展を支えるためにも重要な水道インフラ。ローカルの大きな課題のひとつに、深刻な水道管の老朽化があるそう。水道事業は人口増加を前提につくられているため、人口が減少傾向にある自治体では、技術を伝える公務員の高齢化で技術の継承が困難になっています。

「ティールファシリティーズ株式会社」では、民間の技術を使って水道事業の課題を解決していこうとしています。具体的には、監視センターでの24時間365日オペレーション。効率的に遠隔で提示する、未来のシステムをつくる計画。難しいスキルやコミュニケーション力は必要なく、「一緒にやっていこう」と相手を尊重するマインドを持つ人を求められていました。

環境に配慮しノーマライゼーションな観光のカタチ
T-PLAN株式会社

右)T-PLAN株式会社 代表取締役 寺下満(てらした みつる)さん
左)T-PLAN株式会社 創夢部 今川夏望(いまがわ なつみ)さん

T-PLAN株式会社」で募集するのは、大分県の景勝地のひとつ「耶馬渓」で、オンラインのガイドをする「観光コンシェルジュ」。

電気自動車(EV)のガイドは、ゼロカーボンという環境とオーバーツーリズムに配慮されたもの。男女を問わず、どこにいてもできる仕事。通勤もなく、ワークライフバランスを大事にできるところ、研修で直接現地に行けるところが魅力。旅行に行きたくても行けない病気や障害を持つ人、高齢者などに寄り添う福祉的なサービスの側面もありそう。代表取締役の寺下さんは、「おじいちゃん、おばあちゃん、子供さんなど、暑い中、歩いて回るのは大変ですよね。どんな人もモビリティで周遊しながら観光を楽しんで欲しい」と、そんなサービス。海外への展開も視野に入れ、外国のお客様も多いので、とくに語学を活かせる仕事です。

最後にイベントを企画した織井さんに今後の展望をお聞きしました。

「『KOSlig JAPAN works』は、これからも『ワーク・イン・ライフ』という考え方を提唱していきます。

今回のイベントで登壇していただいた企業の皆さまから、仕事への思いやこれから働く求職者さんがどんなチャンスを得られるのか、というお話をしてくださいました。企業と働く人の距離が、身近に密接になりつつあることを、お話を聞きながら実感しました。

今まで大企業の電通での人事、スタートアップでの人事を経験する中で、さまざまな働き方や企業さんとの出会いがありました。

企業の思いは、企業の代表者の思いなのですが、それがなかなか求職者の方へ伝わらず、ご縁が生まれなかったり、誤解されて辞めてしまったりということが、採用の現場では多々起きています。当時は、それを大きな課題として痛感していました。

今回のイベントでは、 一般的な求人募集では得られない代表者と従業員の方の生の声を直接聞いて交流できる機会にしました。だからこそ、その企業の本質的な価値や考え方を知っていただくことができたと感じています。

それは、これからの働き方を考える上で、とても有益になるので、このイベントをこれからもたくさん企画していきたいと思いますし、多くの方々に参加いただきたいと考えています」

大分県の仕事には、ワクワクや楽しさがありました。自分にとっても「ワーク・イン・ライフ」という生き方を深く考える機会になりました。

 

<問い合わせ>
KOSelig JAPAN works   https://koseligjapanworks.com/

 

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執筆者:奥田 景子

ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。

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