ちょっとした野菜を自分で収穫できることは、安全性だけでなく都会で自然と触れ合うこともできて、心癒されます。働き方やライフスタイルの変化で、室内で植物を育てたり、ベランダ菜園や家庭菜園を始めた人も多いのでは。でも、大切に育てている植物が枯れてしまった時のショックは大きいもの。
植物は少し条件が悪い場所でも、少し手を加えるだけで驚くほど元気に育ってくれます。土の状態を改善し、植物自体を枯れにくくする「体力BASE」と、吹きかけることで植物を丈夫にする「骨太BASE」が10月に発売されました。
健康な土で丈夫な植物を栽培することはオーガニックの基本。「体力BASE」と「骨太BASE」を製造・販売する「キャビノチェ株式会社」の代表取締役 折原龍(おりはら りょう)さんへお話をうかがいました。
虫を寄せ付けない健康な土と植物をつくる
まず、「体力BASE」と「骨太BASE」をつくろうと思った背景と理由をおたずねしました。
「長年、農業指導を行ってきた『株式会社tmg』と共同で一般園芸向けにBASEシリーズをプロデュースしました。農産物であっても園芸植物であっても植物として変わりはありませんよね。
戦後は化学肥料を使った農業へ変化して、害虫駆除のために農薬を使用した結果、土壌菌が減少し、土壌が痩せてしまいました。土壌菌が減少すると初めは効果的だった化学肥料も十分に分解できなくなり、栄養素を植物がうまく吸収できない。結果として、機能性、味、安全性が落ちてしまいます」
「体力BASE」と「骨太BASE」は、農業で培ったノウハウを活かして、土壌と植物自体を活性化させ、植物本来の持つ力を圧倒的に高めていく資材として開発されました。
可愛いパッケージの「体力BASE」
テトラパック30g :220 円(税込)
「体力BASE」について教えてください。
「『体力BASE』には、過剰な未消化窒素(硝酸態窒素)を減らす効果があります。通常の栽培では、十分な窒素が与えられていますが、日照不足だと硝酸態窒素が残ったままとなり、植物体内でアミノ酸に転換しないのです。また、そのことで、植物は徒長や軟弱になります。
未消化の窒素は、気孔から溢れ出して、虫や細菌の餌となって害虫を誘き寄せます。健康とは言えない状況となり、農薬をかけなくてはいけなくなってしまいます」
「体力BASE」は、米ぬか、植物カス、活性炭、海藻を原料にして、乳酸菌、酵母、納豆菌、光合成細菌などの微生物が活性化している商品。
「体力BASEを使って植物の根に微生物がつくことで、有機物を分解できるようになります。土壌にある硝酸態などを微生物がアミノ酸に変えることで、効率的にアミノ酸が吸収される。残存有機物が多かったり、窒素肥料が多くあった場合には、微生物を働かせる必要がありますね。『体力 BAS』は地力を高め、環境汚染の原因にもなる硝酸態窒素を減らします!」
インテリアに違和感のないシンプルなボトルの「骨太BASE」
スプレーボトル入 300ml :2,420 円(税込)
300ml の詰替パウチ :660 円(税込)
「キャビノチェ株式会社」によると、「骨太BASE」には、植物の抗酸化力をアップさせる効果もあるそう。
「抗酸化力は、野菜や植物の種類によって違ってきますが、植物体を健康にすることで、さらにアップします。『骨太BASE』は、岩石由来の高温溶解による高濃度水溶性ケイ素で、分析値はケイ酸 22.5%です。ケイ酸の効能には、葉には艶が生まれ強靭となること、高温や低温に対する抵抗性が増すこと、植物の蒸散を抑制すること、葉が水平ではなく立ち性になることでより強力に光合成ができるようになること、などが報告されています」
「不健康な土壌は、結果として不健康な野菜、植物をつくってしまいます。また、不健康な土壌は、微生物が極めて少ない状態になっている。健康な土壌は、病原となる微生物を抑制して、植物に有用な微生物が活動することによって成立つものです。その中で、窒素がどのように微生物の作用を受けて、窒素循環をするかが重要となるんです」
菌を安定化させるための混合比率や、植物を丈夫にする骨格形成に有効なケイ酸をナノシリカ化させるなど、さまざまな苦労があって完成した「体力BASE」と「骨太BASE」。
手軽に使えるものですが、農地では農薬や化学肥料を使うことにで起こる窒素過多の解決、園芸植物にも有効な有機栽培農法への転換。さらには、土壌汚染を改善させることで、未来の気候変動や食糧問題の解決策にもつながるような商品だと感じました。
キャビノチェ株式会社 http://sustee.jp/
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ガーデニング, ベランダ菜園, 微生物, 有機栽培
執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |