食料品の買物に行けず孤立する、そんな状況に陥ってしまうことがあります。「買物弱者」という言葉を知っていますか？ それは「高齢化や単身世帯の増加、地元小売業の廃業、商店街の衰退などにより、過疎地域のみならず都市部でも、高齢者を中心に食料品の購入に不便や苦労を感じている人たち」のこと。（参考：農林水産省 食料品アクセス問題ポータルサイト）
さらにコロナ禍では、感染リスクが高い人達が外出を控えることも増え、社会問題のひとつとなっています。
食の地域内流通を広めるプロジェクト
地域の農産物と地域の飲食店をマッチングさせる新しい地産地消推進の仕組み「地産Net」を開発した「株式会社PROPELa(プロペラ)。「株式会社PROPELa」は、「地産Net」を導入している自治体のひとつ、茨城県守谷市で、1月24日から「もりべジ便」の受付けをスタートさせました。
農業が盛んで豊かな自然と共生する守谷市
守谷市では、2020年末から、コロナ禍で影響を受けた飲食店とタクシー事業者等が連携して「守谷デリバリー推進事業協議会」が発足。自宅まで料理を届けるデリバリー事業「もりデリ」を実施しています。その動きに加えて「株式会社PROPELa」が地域課題として見出した”農産物の域内流通活性化の必要性”と”買物弱者に対するサポート”を併せて、「もりベジ便」として提案。市内の生産者グループが協力を表明したことから実施が決まったそう。
PROPELa社の決意表明！
CULTIVATE YOUR FUTURE 〜ミライを、農(たがや)せ〜
「株式会社PROPELa」CEOの山中祐一郎（やまなか ゆういちろう）さんへ、実施までの経緯と当時の思いをうかがいました。
「守谷市で『もりデリ』が始まるところに運よく参加できた私たちは、その仕組みを拡張すべく、飲食店が必要とする食材を市内の生産者から届けることを提案し、その具体化の過程で、同じタクシーが市民へ野菜も届ける可能性を探りました。
守谷市は市街地と農地が程よく共存した美しく住みやすい町で、その人気ゆえに子育て世代を中心に流入が続いています。発展に伴って中心地に大型のショッピングモールがつくられる一方、古い住宅街にあった小さな商店は閉じることもありますよね。車で生活する多くの人の利便性向上が、そこにアクセスが難しい人にとってはかえって困難な状況をつくる
ことがあると気づき、定期で食材を届けるサービスが生まれました。 『食』と『農』が近いこの街で農産物の地域内流通をさらに拡めることを通して、『つくり手』や『とどけ手』との新たな繋がりもお届けできたら…と、そんな思いでした」
ベースになる野菜と旬の美味しい野菜が届きます
「もりべジ便」では、「守谷市経済課」、守谷の生産者グループ、タクシー会社「小川交通有限会社」、一般社団法人もりや循環型農食健協議会（通称：もりあぐ）」と、自治体と地元企業が協賛。
「もりベジ便」の特徴は、①地元の「旬の野菜セット」を定期便orスポットで届ける買物サポート事業であること。②つくり手は地元の農業者・とどけ手は地元のタクシー事業者であること。③高齢者や子育て中の親など日常の買物が困難な市民が主な対象であること。以上の3つです。
守谷市には「いただきます条例」があります。
その前文は、「人のこころとからだの健康は、食べものに支えられるものです。食べることは、こころとからだを育むためには大変重要なことです。
私たちは、まごころが込められて生まれてきた食べものに対する愛情と感謝の気持ちを込めた『いただきます』と『ごちそうさま』のあいさつを大切にし、守谷市の食文化を未来に伝え育んでいきます。そして、安全で安心なおいしい食べもので食卓をかこみ、『食』をとおして楽しく語り合い、ふれあうことにより、豊かな家庭や地域の絆を築き、守谷の新たな魅力を発見することに努めます。
私たちは『もの』と『こころ』がともに豊かな地域社会を創造し、市民の健康的な生活に資するため、この条例を制定します」とあります。
地域のつながりを失った社会で、豊かな暮らしはできない。ただ消費するのではなく、大切な「もの」と「こころ」が循環している、そんな社会を目指す自治体が増えていると感じました。
■もりべジ便 詳細
お野菜セット価格：2100円＜2,268円（税込）＞／2,600円＜2,808円（税込）＞／3,100円＜3,348円（税込）＞／3,600円＜3,888円（税込）＞
配送料：一律400円＜432円（税込）＞
セット内容はHPやチラシでチェック！
配達曜日：月・水・金（時間指定はできません）
配達サイクル：隔週1回、週1回など（お試しあり）
もりべジ便 https://site-6555898-7590-9681.mystrikingly.com/
 |
執筆者：奥田 景子 ライター（エシカルファッション、フェアトレ－ドなど）。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。２０１３年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |
|---|
