廃品を工夫してワクワクする楽器が誕生! クリエイティブに音を楽しむ「みらい楽器ラボ」

心を揺さぶる音楽。子供たちが音楽を聴いた時、耳・目・手・足・頭・心・肌、それ以外にも音楽が響くと感じ、それらを通して多様な感じ方をしていることが明らかになったそう(参考:岩手大学教育学部「感性を豊かにする、五感に訴える『音楽的な刺激』のある音楽活動の在り方に関する研究」)。

音楽の重要性は高まり、今では子供たちの発達支援、障害のある人たち、認知症の回復訓練や心のケアにまで活用されています。

 音楽の持つ力は無限大。聴くだけで満足できなくなったら、演奏もしてみたい! 高価な楽器でなくても大丈夫。じつは生活の中に楽器に生まれ変わるものがたくさんあります。

 アップサイクルに真正面から取り組み、もう捨てるしかない廃品から、ふしぎな楽器をつくっている「みらい楽器ラボ」をご紹介します。

ペットボトルや空き缶など廃品を使い工夫しながら創る

創(そう)さん
愛知県在住の打楽器奏者、楽器発明家。
「音楽と楽器をもっと身近に」をテーマに、ペットボトルや空き缶、
身の回りのありとあらゆるものから150種類以上の楽器を独学で制作。
日用品楽器ユニットkajiiのメンバーとして、
40を超えるテレビ番組に出演。

名古屋を拠点に、全国でコンサートやワークショップを行っている。
2023年、SODA ソーダ創作楽器店をローンチ。

面白いものが大好きだという「みらい楽器ラボ」の創さん。なぜ廃品を使った楽器をつくろうと思ったのでしょうか。

「もともと珍しい楽器が好きで、金属の彫刻のような前衛的なものをつくっていた時期もあったんです。

ある日、kajiiの相方クマーマがドレミファソの音がする食器を5個持ってきたことで、『皆知っている素材で楽器をつくるとより面白い』ということに気づきました。 そこから、身の回りのものや、もう捨てるしかない廃品を使って、原型をあまり崩さずに楽器をつくるようになりました。

いざやってみるとアイディアがどんどん湧いてきて、つくりたいものを創っているうちに今のようなカタチになったんです!」

空き缶でできたオルガン「オルカン」
https://www.youtube.com/watch?v=poVJjaSkgjg&t=4s

身近な廃材でつくられる楽器は、不思議で優しくてあったかい音がします。ネーミングも楽しくなるものばかり。

「廃品からワクワクするデザイン、いい音のする楽器、カラクリのような仕掛けの楽器をつくりたいと思っています。

これからの時代は、どんな分野でも環境負荷の低い素材・技術を使っていくことが間違いなく求められます。『もう捨てるしかないもの=”廃品”』の楽器づくり。これは厳しい制限ですが、実は新しいモノをつくるときは、この「縛り」が鍵になるんです。

『なんでもつくっていいよ!』よりも、『捨てるしかないこれを使って面白いものをつくって!』という方が、いろいろな発想が生まれます」

コカコーラのペットボトルを空気圧で調律する「エアコーク」
https://www.youtube.com/watch?v=NtY_FbJVRjE

エアコークは、ペットボトルに空気を入れて「音をつくる」楽器。木琴とも鉄琴とも違う澄んだ音は無段階で音程の調整が可能です。限界まで追求すれば、2.5オクターブ出るそう。

「誰がこんな不思議な原理を発見したのか、じつはよく分かっていません。予想では、ペットボトルロケットをつくっている方が偶然発見したのではと、思っています。

好きな音を並べて自由に演奏してもいいし、複数台並べてマリンバ(木琴)のようにメロディーを演奏しても楽しめます。水で指を濡らして擦ると、弦楽器のような音も出ますよ!」

ガソリンスタンドでもらったバケツに
ブルーシートを被せた太鼓「ドドンパ」
https://www.youtube.com/watch?v=-XA8hLeui14&t=20s

ただ、廃品を使うといっても、「もともとあった楽器の代用品」ではダメだと思ったそう。目指したのは、今までに無かった音色や機能、そしてデザイン。

 「その心臓部に工夫して廃品を使うことこそ、本質的な面白さ。『工夫すれば、新しい価値が生まれる』 そこが伝われば嬉しいです!」

 廃品を楽器に変え新たな価値を伝えることを使命に、全国各地でコンサートやワークショップが行われています。

ペットボトルと自転車のホイールで創られた「ペットフォン」
https://www.youtube.com/watch?v=5tfiFy3OvNg&t=58s

楽器は音色・デザイン・機能にこだわるのはもちろん、シンプルな技術でつくっているので楽に直せる(=長く使える)ところもポイントだそう。また、売上の一部は環境団体へ寄付されています。

 ありふれたモノを、特別なモノにする。大切にされているのは「工夫の大切さ」と「創る楽しさ」。

 廃品をアップサイクルした楽器を実際につくってみたり音を出してみたり。それはクリエイティブで音を楽しむ作業。

生活の中に遊びと工夫、楽しさや美しさを取り入れることは、心の余裕と豊かさにつながって、心身の回復にもつながっていくのではないかなと感じました。

コンサートの様子
日用品や廃品でつくられて楽器が並びます

【夏休みの工作】廃品から作れる楽器8つ+1
https://www.youtube.com/watch?v=so4RAmAoJ8U&list=PLUOv1nEBaTghOk5Q3cs5LWEO3JutqRzim&index=1

 
みらい楽器ラボ  https://kajii.me/mirai/

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