
2022年12月、生物多様性条約COP15において採択された、新たな世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」(参考:自然環境局生物多様性センター「昆明・モントリオール生物多様性枠組」)。
そこには「30by30(サーティバイサーティ)」がグローバルターゲットのひとつに盛り込まれています。具体的には、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全し、生物多様性の損失を止め回復(ネイチャーポジティブ)させること(参考:環境省「30by30」)。
30by30目標達成のため、環境省は2023年から「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を「自然共生サイト(OECM)」と認定してきました。
佐賀県で最初に「自然共生サイト」に認定されたのが、佐賀県唐津市の中山間地域にある「NPO法人 唐津Farm&Food(Precious Plastic 唐津)」が管理し、申請をおこなった相知町横枕自然共生区域です。
その地は、一級河川の厳木川(きゅうらぎがわ)が流れ、竹林や水田が広がっているところ。アユやトンボ、キジ、カワセミなど、日本の里山の縮図ともいえる動物が生息しています。
2020年に設立された「NPO法人唐津Farm&Food」には、地元の農家さんや地域住民、移住者など異なる視点を持つメンバーが集まっています。
横枕地区で無病息災や五穀豊穣を願い、毎年1月に開催されてきた伝統行事「鬼火焚き」が今年も開催されました。
「鬼火焚き」はおもに九州地方に伝わる正月の伝統行事、
新年の無病息災や五穀豊穣を願う火祭りのひとつ
「鬼火焚き」で使われるのは竹です。放置竹林は、全国的な課題。竹林の拡大が、横枕地区でもサンショウウオを含む多くの生き物の生息地を脅かす環境問題となっています。
今年は新たな試みとして、サンショウウオの保全活動で切り出した竹を鬼火焚きに活用。竹をすべて燃やし切るのではなく、途中で火を止め、竹炭として残し、その恵みを横枕農園のナス畑へと還元していく試みです。
増えすぎた竹は適切に伐採し、鬼火焚きで祈りを込め、残った資源を農へ返す。この一連の流れが、自然共生サイトが目指す「人と自然の循環的な関係」につながっています。
高齢化や竹材の需要減少で放置される竹林
“横枕地区一帯は、人の営みと自然環境が共存し、生物多様性の保全に寄与している地域として評価されています。暮らしの中で自然を守り続けてきた“実践のフィールド”です。
鬼火焚きは、自然共生サイトのフィールドの中で行われる伝統行事であり、里山管理、生物多様性保全、農業、地域文化が一体となった実践の場でもある。
鬼火焚きは、地域の無病息災や五穀豊穣を願う行事であると同時に、里山と向き合い、自然と共に暮らしてきた知恵と文化を次世代へ受け継ぐ大切な時間”
さらに、「唐津Farm&Food(Precious Plastic 唐津)」は、横枕の自然共生サイトでの活動を通して、ネイチャーポジティブだけでなく、環境教育(ESD)や地域循環の実践を続けています。
佐賀県立唐津南高校との環境教育
「Precious Plastic 唐津」のプロダクト
海洋プラスチックゴミをアップサイクルしたクジラのキーホルダー
魅力的なアイテムがたくさん!
“唐津の風景と文化を大切にしながら、人と自然がともにある未来を、地域から育んでいきます。伝統行事を守ることが、次の世代の環境をつくることにつながる”
横枕地区を拠点にしながら「NPO法人 唐津Farm&Food(Precious Plastic 唐津)」の「経験を深化させ、世界を変える」挑戦は続いていくようです。
NPO法人 唐津Farm&Food(Precious Plastic 唐津) https://karatsu-f-f.com/
Instagram @ karatsuff
ORGANIC NETWORK編集部
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